第25話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(2)
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りにひしと抱きしめる。先程までの緊迫した空気が、昼間のように一瞬で台無しになってしまっていた。
が、
「あぁ…、あの子とも、一緒に食べたんだけどね。初め胡散臭そうにてんむすやらを見てたんだけど、口に入れたら目をまん丸にしちゃってねぇ。それからぱくぱくかっこむもんだから喉につまらせちゃって。慌てて背中さすったら、あの子笑ったんだよ、『本当に美味しくてびっくりした』って」
ついさっきまでの嬉しそうな様子から一転し、顔を俯かし狼は話すだす。楽しかったのであろう出来事を、本当に辛そうに。
唐突に、狼が顔をあげる。
その視線にはどういう訳か先程以上の敵意を宿し、純吾達をまっすぐに射ぬいた。
「そうさ、坊やがただの料理が好きなら良かった。そうだったらあたしらは正体を教えなくて、ただちょっと美味いものを食べさせてくれるだけの関係を築けて。あの子が少しでも羽を休める、そんな場所ができるはずだったんだ。
……なのに坊やはそうじゃなかった! それどころかあたしたちの邪魔をする側にいて、あの子が苦しむ原因にもなっていた!」
狼は首を激しく振り、その大きな口からありったけの声で抑えきれない彼女の感情を吐き出していく。
「そうだ! だからこそあんたらはここで降りてもらわなくちゃならない! 坊やは優しすぎたっ! 敵であるあたし達にまで知らず知らず手を差し伸べて!
それはあの子を苦しめるだけだ!! なら、ここであんたらを倒して! 二度とジュエルシードの捜索をしようなんて思わせない様にしてやるっ!」
心に一層強い敵意と決意を宿し、狼――アルフは目の前でいまだ事態に対応しきれていない純吾達に躍りかかって行った。
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