第25話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(2)
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いう言葉に結構な愛着を感じていたからだ。
「そうにゃ、どこかのでっかいだけが取り柄の犬にしかなれないような女とシャムスを一緒にしてほしくにゃいにゃ。シャムスは仲魔、神や悪魔といった超常の存在にゃ。
それに、変身っていうのは」
くるんと宙返りを打ちながら純吾の肩からシャムスが宙へと舞う。
その体が一瞬光に包まれたかと思うと、半人半猫とも言うべきバステトとなったシャムスが純吾の隣に立っていた。
「変身っていうのは、こういう風にエレガントにやるものにゃ」
「はっ、言うじゃないか、猫風情が」
シャムスの挑発を鼻で笑いながら狼は返す。
「しかしなるほど。なかま、だったかい? あんたが悪魔がどうとかはともかく、確かにさっきの女といいあんたといい、確かにあたしとは違うものを根源としているようだねぇ」
挑発を返した後、すぐに真剣な表情になり狼は現状を分析する。瞬きほどの少しの間、バステトとなったシャムスと純吾へと視線をさまよわせるが、すぐにやりとその大きな口に獰猛過ぎる笑みを浮かべた。
「けど、それだけのようだねぇ。あんたからもさほど強さを感じやしない。強くなけりゃあ魔導師だろうが、それこそ神様や悪魔だろうが関係ない。
あたしらの目的の為に、邪魔する奴は叩きつぶすだけさ」
「来なっ!」後脚にすぐにでも飛びかかれるように力を込め、狼が言い放った。
彼女の脳裏に浮かぶのはあの日自分の胸の中で泣いていた少女。優しい心を傷つけてまで、ジュエルシードを集める事を決意した彼女の主。
その少女の負担を少しでも減らす。その為に、自分たちと対立し、少女を苦しめるだろう目の前の少年たちを自分の手で倒すと彼女は決めた。
いっそ悲壮なまでの決意を敵意に変え、容赦なく少年達にぶつける。
「…一つだけ、いい?」
「……はぁ、さすがとでも言っとこうかい? これだけあたしが睨んでるってのにそんな事言えるとは。いいよ、ただし一つだけだ」
自分の威嚇を受けても怯んだ様子を見せない純吾に、若干呆気にとられたような狼。一つだけなら昼間のように話が脱線したりしないだろうと、昼間の事を思いだしながら純吾へ返した。
「あれ、食べてくれた?」
「あれ? あれ、あれ……あぁ! あの卵に“てんむす”ってのだろう!? いやぁ、ありゃ美味かったねぇ! 最近碌なもの食べてなかったかったし、感動もんの美味さだったよ」
食べた時を思い出しているのだろう、途端に首をうんうんと上下させ、全身を使って如何に純吾の渡したものが美味しかったかを語ろうとする狼。
その様子に、一瞬前までの狼の威嚇で体を強張らせていたユーノが全身を地面に突っ伏させ、シャムスは「やっぱり餌付けされてたにゃっ!」と純吾は渡さないとばか
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