第25話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(2)
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間もなく転移の光に呑み込まれ、彼女へ自分の声が届いたのかどうか、確認できないまま押し寄せる光の前に目を閉じた。
次に純吾が目を開けた時、先ほどよりもずっと暗い事に気付き、それは今自分を周囲から圧迫するかのようにそびえたつ木々が原因なのだと思いつく。短距離転移とは言ったが、かなり遠い場所に移されたのだと、当たりをつけた。
「さって、ここなら、邪魔ものも入らないかねぇ」
そう考えていると、後ろから声がかかる。敵意を含んだその声に純吾は思わず飛び下がり、後ろを見る。
そこにはやはりというべきか、純吾をここまで運んできた女性が片頬をあげながら愉快そうに立っているのを見つけた。
と、純吾の足もとにいたユーノが声を荒げて食って掛かった。
「どうしてジュエルシードを集めているんだっ! あれは危険なものだっていうのが分からないのか!」
「危険? 知ったこっちゃないねぇ。あたしはただ、あの子がそれを求めてるから協力している、それだけさね」
ユーノの詰問もどこ吹く風といったように、女性はにわざと大きく肩をすくめる。その挑発にさらにユーノが声を上げようとするが、目の前に現れた手に言葉を遮られた。
「…どうして、こんなことを?」
ユーノに手を伸ばし、それ以上の追及を止めた純吾が短く問いかける。その声に、待ってましたとばかりに笑みを深くした女性。
「そりゃあ決まってるさね、今あんたらが集めてるジュエルシードを持ってるあの嬢ちゃんから、それをいただきたいと思ってねぇ。
それであんたらの中で一番戦えそうな坊やと、そっちのフェレットにはご退場していただいたわけさ」
「なっ、さっきまでのリリーさんの状態を見てただろう!? どう考えたって普通じゃない。彼女を唯一抑えられるのは純吾だけなんだ! それを――」
「あっははは! 逆さねフェレットの坊や。怒っているからこそ、正常な判断ができない。そこにつけ込むのは簡単さね。
それにあたしから言わせてもらえばあの女がやばいのは雰囲気だけさ。感じ取れる力量はたいしたことない。どれだけ踏ん張っても魔導師ランクにしたらAランクに届くかどうかだろうし、それじゃあ逆立ちしたってあの子にゃ勝てやしないさ」
「…リリーと、戦う気なの?」
純吾達をここまで飛ばした理由をあっさりとばらす女性に、さらに純吾は小さく問いかけた。
「当り前さね。同じ物を集めて回ってるんだ、あんたらはあたしらにとったら邪魔なんだよ。もし目の前に邪魔な奴がいたら坊やはどうする? どうやってそいつとの関わりをなくしたらいいと思う?
簡単な事さ、二度としゃしゃり出ないようにしたらいい。まぁ、今回の邪魔なものの範囲には…」
消え入るような純吾の問いかけに、滔々と答えて
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