第25話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(2)
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よ? 何せ、相手は女の子だし、自分が我慢して、それで前の事は水に流そうっていうんでしょう?
けどねぇ」
視線を純吾の顔から、橋の上にいるフェイト達に向ける。彼に向けていた優しい雰囲気は一瞬にして消え去り、寒々とした目を彼女たちに向ける。
「分かっているでしょう? 一度敵対した相手に情をかけるって事がどれだけ危険かって事は。特に、それを身を持って知ってる、ジュンゴなら」
その言葉に純吾はリリーの手を強張ったかのように強く握る。彼女が、前の世界での自分の最後の事を言ったのだと理解したから。それに、と一呼吸おいて、リリーは続けた。
「ジュンゴの仲魔になって、大分ジュンゴに影響されてるんだろうけど、やっぱり私は悪魔なの。
……いえ、むしろあなたの仲魔だからこそ、あの時、何もできなかったからこそ。もうジュンゴが傷つくのなんて見たくなかった。
だからやり返さない限り。あいつらを殺しでもしない限り、この気持ちは収まりそうにないわ」
だから、行くね。そう言って再び宙へ浮かぼうとしたリリー。
その自分から離れつつある彼女の手を咄嗟に純吾はとった。
「……リリー、ジュンゴの事考えてくれるなら、ジュンゴも考えてる」
何度も報復の邪魔をされ、ついに純吾にさえ苛烈な眼光でもって見下ろすリリーに、純吾は真正面から向かい合った。
「前だったら、そう。けど、ここは違う、戦わなくたって……殺さなくたっていい。リリー、ジュンゴもここで生きてくから。ずぅっと、一緒だから、だから――」
途中から固まるリリーに気づかないまま、最後の言葉を口に出そうとした瞬間、リリーを空中へ押しだすように手を離した。
そのすぐ後、「ええぇっ!」と明らかに気の抜けた声を出すリリーのいた場所に旋風が巻き起こる。
「ちぃ、呆けてる今ならいけるって思ったんだがねぇっ!」
風を巻き起こすほどの強烈な蹴りを放った女性は鋭く舌打ちする。そのまま空中で体勢を立て直すと、野性的な鋭い視線を純吾に向け、口角を釣り上げる。
「まぁいい、ちょいと面貸してくれないかねぇ…坊や!」
「いけない、短距離転移魔法だっ!」
純吾と前に出て橋の上の少女を警戒していたユーノたちの足元に、光で編まれた魔法陣が浮かび上がる。
我に返ったリリーが慌てて手を伸ばすが、立ち昇る光の壁に阻まれ中に入る事ができない。
「リリー、なのはを!」
壁の内側純吾も手を伸ばしながら声をあげる。今自分がリリーから離れることで、彼女が暴走してしまわないか、それが、彼女となのはやすずかたちとの確執をもたらさないかと心配し、なんとか自分の思いを伝えようとした。
「なのはをお願いっ! 戦って、みんな悲しませるような事しないで、お願ぃ――」
しかし
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