プロローグ1「物語の始まり」
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かし、世界の真実を識った者ならこう答えるであろう。
アレは、人が扱える代物ではない。知るべきでなかった、と。
『魔導』の『魔』とは、××××を指すのだから……
暗い昏いどこまでも漆黒が覆う空間の中、その一画にソレはいた。
『人は、完全じゃない。だからこそ、完全を目指して際限無く成長する。自分が究極だと思い込んで、そこで止まっているお前に負ける筈がない』
何も無い空間に、映像だけが流れる。
「きゃははははは!!何このセリフ、受けるー!」
その映像を見ているのは、見た目は年端もいかぬ子供であった。
格好は古代ギリシャの人のような上下白の服装であり、容姿は少年のようにも、少女のようにも見える中性的であった。
「あはははははは!!あーあ、はぁ……」
腹を抱えて両足をバタバタさせながら笑っていた子供は、ピタリと笑うのを止めた。
流れていた映像も途切れ、空間が静寂に包まれる。
「コレを見るのも飽きたしな。……よし!新しいゲームを始めよう!!」
恐ろしい程無邪気に、鳥肌が立つ程純粋にこれから起こる事を楽しみだと言わんばかりに宣言する。
「出ておいで!」
何も無い虚空に呼びかけると、闇の中にも関わらず闇が溢れ、そこから一羽の鷲が現れた。
「お呼びですか?」
人語を解する鷲にさしたる驚きも見せず、子供はニコニコと顔を向ける。
スッと、右手を差し出すと、手の平に一つの泡が生じ、やがてそれを起点に上下左右大小様々な形の泡が発生して、あっという間に空間の中で広がる。
「お遊戯の時間だよ。方法は任せるから、楽しませて」
その泡の一つを指さしながら、子供は告げる。
「御意」
子供の命令に恭しく頭を垂れると、鷲は闇の中に消えた。
再び子供だけとなった空間の中、未だ消えていない泡の一つに手を伸ばす。
まるでそれは、玩具を壊すかの如く。
バチィ!!
だが、子供の行動は泡に触れた瞬間、電撃のようなものが迸り、手を弾かれたことによって途中で妨げられた。
「あーあ。やっぱ駄目か」
手を引っ込めると、子供は視線を先程まで見ていた画面に戻す。
「精々足掻け、同朋よ。貴様に安息などない」
子供の顔から表情が消え、あるシーンで止まった画面をいつまでもいつまでも睨みつけていた。
その画面には、少女達に囲まれて共に酒を飲んでいる青年がアップで映っていた。
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