プロローグ〜邂逅〜
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ったその賊の顔が日の光に照らし出される。
「「「っ!?」」」
その素顔を見た周囲の兵士たちは、本来討つべき相手を討つことに思わず躊躇する。それもそうだろう。何故なら…
「子供…だと!?」
相手は多く見積もっても精々12,3の少年だったから…
それを見た桃蓮にも少なからずの動揺が走る。そして少年はこの隙を逃そうとはしなかった。
「しまっ…!?」
気づいた時にはすでに大剣の間合い、そして既に動作に入っていた。全身を使い、遠心力を乗せた大剣が無防備な桃蓮の横っ腹に唸りを上げて襲いかかる。
(やられた!)
そう思い、来るべき激痛とそして死の苦痛に備え、桃蓮は歯を食いしばる。
だが、その激痛も苦痛もいつまで経っても来ることはなかった。
「やれやれ、儂としたことが想定外のことに呆気にとられるとは…」
「全くね…まだまだ精進が足りないみたい」
声の方を見てみると弓を構えている祭と焔が確認出来た。
そして次に下に視線を落とすと、そこには矢じりが潰された矢と、脇腹を押えながら意識を手放した少年。
「祭、焔。手間をかけさせたな。すまない」
「別にいいのよ。…ところでそこの坊やはどうする?」
桃蓮の謝罪を意に介することなく、焔は倒れている少年を顎でさした。
「…こいつには少し聞きたいことができた。事と次第によっては…」
そう言って、再び桃蓮は足もとの少年を見やる。
覆っていた布からはみ出た少年の赤い髪が大陸を抜きぬける春風にそよいでいた。
「名は何だ?」
「先ほども申した通りありません」
「年は?」
「10らしいです。頭の言ってたことですが」
「何故あの賊共とおったのだ?」
「分かりません。物心がついた頃には既に」
桃蓮、焔、祭から矢継ぎ早に繰り出される質問にすらすらと答えていくのは、先ほど捕えられた少年である。
ちなみに一行はすでに桃蓮の居城である長沙まで戻ってきている。そして目を覚ました少年の尋問に取り掛かっているのだ。
とは言ってもどれもはっきりしない答えばかり。
三人は思わず頭を抱える。
「…そう言えば…」
そんな三人の様子を見てかどうかは分からないが、少年は口を開く。
「名前かどうかは知りませんが、頭たちにはよく『人形』と呼ばれていました」
少年が何気なく言い放った一言に三人は絶句する。
少年の言が正しければ、少なくとも人間としては扱われていなかったのであろう。目の前の年端のいかない子供がそのような目にあっていることがたまらなくつらかった。
一方、その本人
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