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王道を走れば:幻想にて
第四章、その7の2:丘の野戦 ※エロ注意
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、一々叫ぶんじゃねぇっ、耳に障る!!」
「・・・なぁ、あの数、少ないじゃないか?見た感じ百もいかねぇぞ」
「そ、そうだな。案外少ないぞ。いけるんじゃないのか、これ」

 言葉の通りであった。横に広がった状態で斜面を降りてくる敵の数は、数えられるだけで百以上、しかし二百は満たない数であった。遠くからでは見え難かったが、弓らしきものを持っているのが分かった。

「ありゃ、弓兵だよな?舐め腐りやがって。神様っ、巫女様。俺には当てないで下さい」
「信心深くなるなよっ、俺に飛んでくるだろ!?」

 自分勝手な言い草が聞こえた瞬間、その一団から空に向かって、多くの黒い筋が延びていった。小高い斜面から伸びた黒い筋は空を駆けて、足を止めていた賊達に飛来する。直前に掲げた手製の木盾によって大体が防げたのであったが、その弓矢は、隙間を縫って首筋や足の甲などに突き刺さった。目に刺さった不幸な者については、鏃が奥深くまで入り込んだ不幸も重なって脳をやられ、そのまま崩れ落ちて息絶えてしまった。
 エルフの男は木盾で矢を防いで被害を見る。見た感じ、矢は一団の手前から全体の第一列、第二列にかけて飛来したようであり、十数人程度が死傷していた。小高い部分に居るだけあってもう少し被害があっても不思議ではなかったが、矢は案外遠くまで飛んでこなかったのだ。 
 男が不思議に思う中、一人の人間が彼に食って掛かった。以前まで人間の盗賊を一手に率いていた、若い男である。

「おいっ、糞エルフっ!なにぼさっとしてやがるんだっ、さっさと突っ込まないと俺等針鼠にされちまうだろ!?」
「な、何を言っている!一番前の連中にしか当たってないだろう!?」
「それがっ、問題なんだよ!!俺の仲間が死ぬのを黙って見てろってのか!?てめぇらっ、覚悟は出来ているな!?」

 若人は仲間が死んでいる事に激昂し、それに指揮官が何もしない事に怒っているのだ。今からそれをしようとした矢先に食って掛かられた男はむっと顔を歪めた。それが更に若人の怒りを買ったのだろう、彼は仲間らに向かって呼び掛ける。

「総員抜刀っ、あの薄汚い土人共に向けて突撃しろぉおおっ!!!」
「ま、まてっ!全員隊列を組まんとっ、ばらばらに殺されてしまうっ!!」
「知るか、くそったれ!!!」

 多くの人間の者達、凡そ全体の半数以上が彼の檄に反応して雄叫びを挙げた。第二射が降り注ぐ中彼らは一気に侵攻し、丘の斜面を登り始める。それらを見てまるで予定調和であるかの如く、弓兵が踵を返して駆けていく。
 ここに至ってエルフの男は危機感を覚えた。余りに弓兵らに統率が取れすぎている。まるで我等の反応を予期していたかのようであった。何か罠があると、男は半ば確信した。
 エルフの仲間が彼に問う。

「お、おいっ、俺らも行かんのか!
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