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王道を走れば:幻想にて
第四章、その7の2:丘の野戦 ※エロ注意
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蔑まれ、ろくに再婚相手が出来んのじゃ」
「然り。我等がちょっと弄るだけで怒るし・・・本当、やつは将来苦労するの」
「それ以上言うと枯れた棒を二度と立たぬ棒にするわよ。分かったら黙りなさい」

 老人らは再び笑って肩を寄せ合う。
 慧卓は余りにも唐突過ぎる自らの立場の変化に少し唖然としながらチャイ=ギィを見遣った。彼女もまた少し驚きながら母を見ていたが、溜息を零すと共に系卓を見る。

「母の言葉に従います。ケイタク殿が指揮を御願いします」

 慧卓は今度はアリッサを見詰める。彼女は皆と違い、どこまでも真摯な瞳で彼を見返した。 

「・・・私も、ケイタク殿に賭けてみたいな」
「・・・いいのですか?」
「ああ、いいとも。九百の人名を背負う覚悟があるのなら、任せてみたい。そうでなければ私が指揮官となって、敵を迎え撃つ」

 彼女の言葉を聴いて、慧卓は己の意思に疑問を投げ掛けた。人の命を背負うほどの覚悟はできているかと。その答えは、勿論、であった。コーデリアと共に生きると決めた時から、そしてアリッサを抱いた時から、彼の覚悟は決まっていたのだ。異界からの人間であるに関わらず、彼は彼女らと、そして仲間のために戦うのである。
 それに、会話を聞くうちに慧卓の中では一つの戦術が構築されていた。眼下に広がる地理を十二分に利用できる、素人の浅慮な策謀である。だがこれが上手く決まれば、盗賊らは蜂の子を散らすように逃げるであろうという確信が彼にあった。

「やらせて下さい。この戦闘で勝ちます」
「よし」

 アリッサの頷きを得ながら、慧卓は再び周囲の環境に目を向けた。この高みから敵の一郡に向かうまで、なだらかな下りの坂を挟んで平地が続くのみだ。また慧卓のすぐ左方には、丘を越えて林が続いている。後ろの味方を見遣れば、意気軒昂とまではいかないが、盗賊の暴挙を許さぬエルフらの意地が見て取れる、エルフの軍隊が待ち構えていた。
 彼が急場凌ぎの戦術を展開するに辺り最初に目をつけたのは、自陣にまで運ばれている、馬用の豊富な藁であった。

「あれをここまで運んで下さい。幾つもの塊に分けて、たっぷりに油を染み込ませるんです」



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 エルフの男は、六百を僅かに超える大所帯を率いながら、なだらかな平野部を歩いていた。彼にとって目前に聳えている丘に陣取れば、襲来する敵方を迎撃しやすくなるものであったため、可能であればそこに辿り着きたいと考えていた。しかしそこにはためく緑の旗を見てその願望は消え去る。
 彼は手を掲げた。ばらばらに賊達が止まる。男がじっと見詰める中、丘向こうから多くの人影が見えてきた。一手間に合わず、敵が現れたのだ。

「・・・おっ、おい、敵だぞ!!敵が来たぁっ」
「分かってるから
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