第四章、その7の2:丘の野戦 ※エロ注意
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ありまして、今日まで弓を持った事すら無い者が大半かと」
「となると、弓の有効射程は至近距離にまで狭められるというわけですか。しかし高所だ。少しくらいは射程が延びるでしょう。・・・歩兵や騎兵の方は大丈夫なんですか?」
「幸いにも、正規兵がおりますので急ごしらえではありますが訓練を積んでおりますし、自衛のために槍を覚えている者達も御座います。そうでなくとも長い得物ですから、鍬と勝手が似ております。下手に扱う者は少ないでしょう。
騎兵については、私達私兵団によって構成されておりますので、其方の心配は御無用であります」
慧卓はアリッサとチャイ=ギィによる説明をざっと聞きながら考える。本来ならば賢人方にはそれぞれ精鋭ともいうべき兵が居るらしいのだが、残念ながらそれらは領内他地域の治安維持、即ち現在進行中の政争の安定に充てられて動員出来る状態ではない。これがあればもっと楽なのだが、贅沢はいえないのであった。
「・・・さてと、どうするかなぁ。敵は・・・何人でしたっけ?」
「報告では数百人でしたが、あれを見る限り六百はいくでしょうね」
「・・・ほとんど同数か。意外と厳しいか・・・?」
「ケイタク殿。此方から打って出ないのか?」
「向こうが待ちの構えなら、そうしたいのですが・・・」
言葉の先までは言わずとも皆が知っていた。高所の利を捨てるというのは、この素人もどきの部隊ではどうしても選べぬ選択肢であった。
彼が思考を巡らしていると、賢人ノ=ボが、穏やかな口調でいってのけた。
「・・・のぉ、補佐役殿。我等は兵法について知る事がすくのぉてな、細かい事はそなたらに任せたいのだが」
「なっ!?あ、貴方達っ、少しは年長者として権力に粘ったりしなさいよ!一応面子ってものがあるんじゃないの!?」
「そのような事も言われたとて、わしもノ=ボも、村の村長をやっていたから賢人になったようなもので、特に賢人で居続けたいわけではないからのう」
「然り。私など、村一番に子宝に恵まれたという理由だけで賢人になったのだぞ。その時祝賀にお前も駆けつけたではないか、チャイ=ギィ」
「・・・ここでその話をしますか?全く・・・」
呆れるような口振りに、老人らはくけけと皺枯れた笑みを零した。彼らの態度に頸を振ったソ=ギィは慧卓とアリッサを交互に見る。
「皆が認めた以上、私も貴方々を信頼するより他ありませんわ。お願いしますわね」
「よ、宜しいのですか、チャイ=ギィ様?」
「いいのよ。領内で起こっている争いだって、元はといえばイル=フードとニ=ベリの権力闘争の産物じゃないの。私は関係無いし、寧ろ平時を乱す危険分子を潰せる口実が出来て幸運だと思っているわ」
「おい聞いたか?これが賢人の考えというやつよ」
「全く末恐ろしいの。だからあやつは雌猫と
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