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王道を走れば:幻想にて
第四章、その7の2:丘の野戦 ※エロ注意
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村の生き残り達も、手を空かしていた男達によって連れ去られていく。彼らにどのような暴虐が振るわれるかについては、誰も存じ得ないものであった。


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 淡い緑に色づいた葉に似合うような、明るい空。風は強くも弱くも無く、穏やかである。山脈に程近き西方ではこうもいかないであろう。これらの天候こそが、まさに望んでいたものであった。
 青き晴天を頂く丘陵地帯、その丘の最も高き高所に三人の老いたエルフが立っており、遠くから進軍してくる一団を見遣った。今更問うまでも無い、盗賊の大所帯であった。

「・・・ほう。賊にしては中々の布陣ではないか。なぁ、ノ=ブ殿」
「知らんわ。わしが兵法を知っておると思うて言っておるのか?」
「いんにゃ、そうとは言わんが・・・なれど年の功というやつがあろうて。そうであろう、ン=ビ殿」
「年の功だと?本を読んだか、そうではないかと言いたいのか。たわけ、馬車に積み上げた藁の数しかないわ」
「そうなると、おぬし、今年で何千歳だ?樹木より年寄りとは、羨ましいのぉ」
「年取った分、女子は抱けんぞ。皺枯れた肌にもっちもちの肌をすりすりしてくれる娘がどこにおるのじゃ。のう、調停官殿?」
「え?さ、さぁ・・・世の中分かりませんので」

 彼らの一人に問われたアリッサは微苦笑を浮かべて、それに答えた。傍にいたソ=ギィは嫌そうに眉を潜め、老人らのセクハラ紛いの言葉に愚痴を零すかのように慧卓に囁く。

「・・・ね、分かっていただけたでしょう?私が苛烈となる理由」
「・・・なんとなく、理解できました」
「そうでしょう?真面目な話を振るのに最後には必ず色目を使ってくるのです。毎度毎度相手にするのも疲れてきますのよ、本当に」
「だから、彼らをぞんざいに扱うのですか?同じ賢人でしょう?」
「違いますわね。彼らはイル=フードの庇護下にある方々ですわ。まぁ、ニ=ベリと住んでいる場所が遠すぎるからという理由だけでイルに加担しただけですから、案外あっさり鞍替えしそうですけど」
「あ、あはは・・・そうなのです、か」

 慧卓は苦笑を浮かべながら、ソ=ギィと同じ立場にある、三人の賢人の背中を見詰めた。それぞれ名はノ=ブ、ン=ビ、ドイ=トといい、何れも農民出身の者であるらしい。とてもこれから戦をする者達ではない、穏やかな雰囲気が漂うものであった。
 本来なら慧卓は彼らとは会談において邂逅する予定であった。しかしその間際で受けた盗賊襲来の報告を受けたため、チャイ=ギィは急ぎ兵を纏め上げ、こうして丘陵の手前で賢人らと顔を合わせる事となったのだ。彼らもまた兵を集めたようであるが、どこか王都の兵と比べて弛んでいるように見えた。
 慧卓はこれから一戦交えるという緊張感を今一抱けない中、ソ=ギィに尋ねた。

「で
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