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王道を走れば:幻想にて
第四章、その7の2:丘の野戦 ※エロ注意
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った。精強ではないエルフの軍隊に、彼は嘲りの笑みを口元に湛えた。
 また新たに二人の敵兵を切伏せた時、後ろから地を震わすような轟きが聞こえて来た。炎の轍を登ってきた勇気ある味方が駆けつけて来たのだ。彼は戦場の最前線から離れていき、丘の頂上まで駆け寄っていく。自分が激励すれば、仲間は一気に高揚するであろうと確信していたのだ。
 しかし頂上付近で目にしたのは賊の仲間ではない。

「そこの匪賊っ!!」
「!!」

 凛とした罵声。男は背筋をぶるりと震わせ、反射的に顔の前に剣を掲げた。瞬間、丘を駆け上ってきた騎兵が擦違い様に一気に剣を振るった。猛烈と突撃してきた、ソ=ギィの私兵団団長、チャイ=ギィの一刀である。男は手首の辺りに鈍い痛み覚えると共に、防御の構えを一気に崩されて、自分の得物を手放してしまう。
 衝撃を受けた男に向かって、アリッサが操る馬がすぐさま駆け寄り、彼女は一気に剣を振り下ろす。がら空きとなった若人の胸が裂かれ、若人は後ろのめりに倒れこんだ。だくだくと流れる血潮に手をやって、男は呆然と呟く。

「・・・お、俺の・・・」

 零そうとした次の一句は、騎馬隊の蹄によって潰されていく。二人の美麗な女性を先頭として、幾多もの斑模様のバンダナが宙をはためいていった。最後尾付近を駆けていた慧卓は騎馬による蹂躙を思うが侭に観察できた。まさに圧倒的な光景である。矢のように一点を突き進む騎馬の群れによって人が倒され、切伏せられている。私兵団による攻撃を確認できたのか、エルフ軍は一気に士気を向上させて大攻勢に打って出ていた。前門の軍と後門の騎馬に押されて、五分を保っていた賊の勢いは総崩れとなり、何とか逃走を試みようとしていた。

「慈悲をかけるな!全員殺しなさい!!」

 戦場を駆けるソ=ギィの命令が、慧卓の耳に入っていく。愛馬であるベルの足が男の腹を強烈に蹴り付けるのを見ながら、彼は怒号と悲鳴が入り乱れる戦場でアリッサの姿を探す。何度か周囲を窺った時、赤い剣を振り翳しながら味方に鼓舞している彼女の姿が目に留まった。同時に、彼女の馬の足元で賊が這っているのも窺えた。慧卓は急いで彼女の下へ駆けつけていく。

「後は掃討戦だ!!全員、最後まで気を張れぇっ!!」
「アリッサさんっ、足元注意!!」
「!」

 注意が届いたのであろう、彼女は手綱を一気に引いて馬の前足を立たせる。這っていた賊が折れた矢を片手に襲ってきたのを回避すると、彼女は賊の背中を斬り付けた。今度こそ絶命する男を見遣ると、彼女は慧卓と馬を並べた。

「感謝するぞ、ケイタク殿!中々様になっているな!」
「有難うございます!でも皆の御蔭ですよ!でなければ、ここまで上手くいくとは思いませんでした!」
「いや、ケイタク殿もよくやったぞ!見事に戦場で生き延びたんだからな
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