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王道を走れば:幻想にて
第四章、その7の2:丘の野戦 ※エロ注意
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程までのものと比べれば微々たるもので、賊の士気を崩壊せしめるほどではなく、矢の雨はこれをもって打ち止めとなってしまった。何故なら今し方、エルフ軍は全ての矢を打ち尽くしたのだから。
 自らへと向かってくる賊の群れを見て、エルフ軍の総指揮官の地位を頂いたソ=ギィは、己の剣を引き抜いて発破する。

「総員抜刀っ、吶喊っ!!!」
『おおおおおっ!!!!』

 二つの人の群れが、鈍い光を放つ凶刃を手に、互いに向けて疾駆していく。滾らんばかりの感情を乗せた一刀が相手の命を奪わんと信じ、二つの波が交差していく。途端に、高調子の金属音や生々しき裁断の音、そして怒号と断末魔が共鳴し始めた。
 丘向こうから聞こえてくる狂演を耳にして、林の中を進んでいた慧卓は思わず身震いした。自らが策定した計画によって事が運ばれ、人命が次々と消えているという事実を実感したのだ。それでも彼は計画の立案者として、最後まで凛然とあるべきと自らを戒める。

「・・・本隊は、動きませんか」
「それが計画通りなのでは?ケイタク様」
「ええ。何とかうまくいったようで、助かりました」

 彼が立てた作戦はこうだ。先ず弓兵のみで敵を射掛け、反撃があり次第撤退する。次に丘まで辿り着いた者から、松明用の油を染み込ませた藁を運び出し、弓隊が退避したのを見計らってそれに火をつけて相手に向かって転がす。その時点で矢が残っていた場合、弓隊は登りきった敵兵に全てを撃ちつくし、その時点で弓隊も含めて全軍が突撃する。これらの指揮はソ=ギィら、賢人達によって任される。
 その間に慧卓ら騎兵団は左方の林の中をゆっくりと進み、敵軍の背後から強襲する事になっていた。現状、幸運にも敵は二分されている状態にあった。即ち各個撃破の好機である。

「・・・急がんと中央が勢いで押される。早く突撃せねばっ!」
「分かっていますって!!皆準備はいいかっ、一気に敵を打ち破るぞっ!!」

 騎兵達は短く、『応』と頷き、それぞれ投擲用の短槍を構えた。そして隊長であるチャイ=ギィを先頭にして、全ての馬首が平野部に取り残された賊達へと向けられ、疾駆していった。
 燃え盛る藁が生み出した、天然の火の壁によって進軍を阻まれていた賊の別隊は、目前の光景にどうする事も出来ず立ち往生をしていた。そこへ向かって彼らの右方、林の方角から轟きが近付いてくるのが聞こえた。何かと思って目を遣ると、猛然と疾駆して来る騎馬の群れを確認する。指揮官である壮年のエルフの男はうろたえた。

「なっ、なんだと!?あ、あれは敵兵か!?」
「ちゃ、チャイ=ギィの私兵団だっ・・・!俺等の敵う相手じゃ・・・!!」
「何を言っている!?後退など認めんぞっ!迎撃しろっ!!方陣を組め!!」
「ほ、方陣ってなんだよ!?わかりやすく言え!!」
「馬鹿か貴様らは
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