第六章 贖罪の炎赤石
エピローグ 兆し
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煮詰まった地獄の釜のような声で呟かれた、その物騒な内容に、食堂にいる者たちが一斉に息を呑む。
体に溜まったものを吐き出すように、アニエスは小さく一度息を吐くと、そこでやっとコルベールに顔を向けた。
「……見届けてやる」
「え?」
視線で人を殺せるとしたならば、優に十は殺せる程の殺気を込められたものを向けられたコルベールは、しかし、予想外の言葉に戸惑いの声を漏らした。
殺気混じりの鋭い視線と、戸惑いを含んだ震える視線が絡まる中、アニエスが口を開く。
「ダングルテールのただ一人の生き残りである私が見届けてやる。貴様が何を残せるのかを……決してそれを忘れるな……」
「あっ……」
食堂から去っていくアニエスの背中を見つめながら、コルベールは呆然と立ち尽くしていた。
アニエスの姿が見えなくなり、残された銃士隊や教師たちが動き始めても、コルベールは動かなかったが。
「……ありがとう……ございます」
小さくなっていくアニエスの背に向かって深く頭を下げ謝ったコルベールは、忙しく動き回る教師たちを手伝うため歩き出した。
「……ん?」
「シロウ? どうかした?」
作戦は無事成功し、士郎たちはトリステイン艦隊との合流点へと向かっていた。
その途中、とある森の上を飛行中、士郎が不意に訝しげな声を上げると、それに気付いたルイズが顔を上げる。
「いや……気のせいだろう」
「? 何よもう」
頬を膨らませながら顔を前に戻すルイズに苦笑を浮かべた士郎は、窓越しに見える眼下の森を見下ろした。
「……そう……気のせい……その筈だ……」
何処か懐かしい何かを感じた気がしたが、ありえないなと首を振って顔を前に向けた士郎だが、一瞬だけだが、その視線は自身の左手に向けられた。
左手の甲。
ガンダールヴのルーンとは違う。
もう一つの契約の印に。
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