4 「黒衣の青年」
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うな咆哮が聞こえてきた。
ギェエエアアアア!!!!
ガアアアアアアア!!!!
先ほどの黒い飛竜とリオレイアの激闘の声だ。
「行くよ」
邪魔になるブルファンゴは全てルイーズがひっくり返し、最大の強敵リオレイアは黒い飛竜がおさえ、リーゼ達はなんとかベースキャンプへと来ることができた。飛竜の咆哮が聞こえたのだろう、エリザの乗ってきた竜車(正確にはガーグァ車)の御者アイルーは、ひどく怯えていた。ベースキャンプとて、100%の安全地帯というわけではない。引き返そうか、それともエリザとの言葉を守ってここに待機すべきか、そうとう悩んでいたらしかった。
ふと気づくとルイーズというアイルーがいなかったが、今リーゼはそれどころではない。兎に角ベースキャンプに生きて戻れたことに安堵してしまい、一気に疲れが出たのだ。
男はへなへなと荷台に乗って座り込んだリーゼの隣に、エリザをそうっと下ろすと、彼女が抱えていた筈のアメショーの毛色のアイルーがいないことに気づいた。リーゼもそれに気づき、再び顔を青くして立ち上がろうとしたが、その前にアイルーを背負ってきている猫の影が見えた。
「よかった…拾ってきてくれたんだ。ルイーズさん、ありが――」
そっと持ち上げたハーヴェストの怪我を確認すると、礼を言おうと影に目を向け息を飲んだ。
「えっ!」
「メラルー!?」
「ニャニャッ」
驚いたリーゼと、思わず声高に叫んで身構えてしまったエリザの前に、すっと腕が出された。ハッとして男の顔を見ると、布で鼻から下を覆って顔を隠しているものの、目は困ったように細まっていた。驚異の跳躍力でその腕に飛び乗ったメラルーは、スルスルと男の首元に丸まって避難した。暗闇に光る金色の目が、警戒するようにリーゼを覗いている。
「……俺の友達なんだ。見逃してやってくれないか」
メラルーは手癖が悪いのでハンターたちにあまり好かれてはいない種族だ。事あるごとに回復薬や携帯食料などをくすねては、あっという間に地面に潜って逃げてしまう。回避策としてはメラルーの大好物であるマタタビをアイテムポーチに入れておくことだが、いつだってパンパンのポーチに、これ以上余計なものは入れたくないというのがハンター達の本音だ。
おまけに、メラルーたちの餌食になる多くのハンターは新米である。何が何だかわからないうちにアイテムポーチごと持って行かれたという話も、聞かない話ではない。かくいうリーゼやエリザも、過去何度も渓流に住むメラルーにハチミツの小瓶や特産キノコを奪われた苦い経験を持つ。
だが、命の恩人の友にそんな態度はいくらなんでも失礼であるということぐらいは、いくらまだリーゼ達が年若い少女といえどもわかった。
「す、すみません。つい……」
「いや、いいんだ。メラ
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