第十三話
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渡すが俊司の姿は見当たらない。妖夢の方を見ても、彼女は目を合わせようともせずただうつむいたまま動こうとしなかった。
「妖夢……さん……?」
「すいません、文さん……」
「でっ……でも! 俊司さんの携帯の反応はここをさしてたんですよね!?」
「うん……そのはず……」
「だったら……」
「はい……俊司さんの携帯は……ありますよ」
「え……」
妖夢はそう言うと、握りしめていた青い何かを文に見せた。
見覚えのある形と色。そして大事そうにしていたストラップ。間違いなく俊司のものだった。
文の体中を寒気が駆け巡る。彼女が何も言わなくても、すべてを理解することができた。
「っ……!」
半分無意識で走りだそうとする文。しかし、
「やめなさい」
と言って紫が文を引き留めた。
「今行ってもなにもすることはできないわ。あなたも犠牲になるだけ」
「わかってます……でも……でも……」
「行きたいのみんな同じよ! 記者であるあなたがきちんとした判断を下せなくてどうするの!」
「そっ……そんなの……わかって……わかっ……て……」
文はすっかり脱力してしまい、その場に座り込んでしまった。
「……吸血鬼さん……犠牲になったのは俊司君だけかしら?」
「咲夜もよ……」
「そう……二人……ね……行きましょう」
紫はそう言って再びスキマを展開させる。
この後、いくら待っても俊司と咲夜が永遠亭に現れることはなかった。
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