第二十四話
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ラでコノモール伯爵と出会ったのも伯爵がターラの首脳との交渉を行っていたからだ。
たしかにうまい手だと思うのだが…穴も多い。
例えば騎兵部隊でトラキアを突破するにしたってトラキア城周辺に近付くに従い窪地が多い、走りなれた平野でそこに窪地があると分かっているのならいいだろう、だがほとんどの兵にとっては未踏の地だ。
窪地も多いとなれば行き足も鈍り突破力も落ちるだろう。
それを克服し主要な都市に攻め入れたところで攻城兵器があるわけで無い、下馬した騎士で城攻めはどうであろうか?完全な虚でも突ければ別であろうが…
そうして城を陥したとして、その後はどうだろう?兵站ルートを寸断されたら占拠した拠点に立て篭もったとしてもすぐに食糧不足で無力化されることだろう。
加えて疫病だ。
俺は一応アジア式の種痘ならやり方自体はわかっているが、受ける側の兵士は抵抗感が強いだろうし、運の悪い2%に入ると死ぬのも士気に関わるだろう…牛痘法が良いのは知っているが俺は牛の病に詳しくないからかかった牛を見分けることも出来ないし都合よくかかった牛が居なければ実行もできないしな…
そんなことを考えていたところ発言するように求められた。
一気に緊張した。
「今回はアルスター代表団の方々のおかげを持ちまして発言の機会を与えられました。レンスター第二王子のミュアハと申します。」
緊張するのでここまで言ってから一礼し、
「ごく最近まで異国で命ながらえておりました。それが出来たのも各国みなさまがトラキア王国への食糧援助を誠実に執行されていたからです。ありがとうございます」
まばらに拍手が鳴った。
「さて、2年余りわたくしは彼の地で暮らし、首都トラキアをはじめ他いくつかの村などに滞在しその国土全てではありませんが幹線ルートのようなものを多少なりと知ることが出来、今回の作戦の進軍ルート策定にわずかばかりでも貢献できるのではないかという思し召しにより発言の機会を与えていただきました」
緊張の余り流れた脂汗を懐からハンカチを取り出し拭い、その間に少しでも落ち着こうと試みた。
「彼の地は南に行くに従い、乾燥化が激しく、そのために地下水くみ上げが影響し窪地が非常に多いです。この窪地自体にも、窪地を人為的に拡張し兵を潜みやすくした防御陣地とでも申しておきますか、そのように守るに易い立地になっており、いかに我が軍の武勇誉れ高くとも何の抵抗もなく速やかに突破できるかと問われた場合わたしは返答をためらわざるを得ません」
ここまで言うとちらほらと唸るような声が聞こえてきた。
「特にトラキア城に向かえば向かうほど窪地は不規則に、無数に存在しており、彼の国が飛竜を用い、騎兵を補助的に用いる事の裏付けともなっているということ、ご理解いただけるのではないでしょうか?」
ここまで言
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