Episode10:シルバーの正体とコピペ
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恐らく達也は、振動数の異なるサイオン波を三連続で作り出し、三つの波が丁度服部先輩と重なる位置で合成されるように調整して、三角波のような強い波動を作り出したのだろう。異なる波長の波を三つ作り出す。そのために、達也はCADの引き金を三回引いたのだろう。しかし、その魔法の再現には、余程精密な演算が必要となるはずだ。少なくとは、俺以外の魔法師は。
しかし、その演算能力の高さを差し引いても、まだ疑問が残る。
「それにしても、あの短時間にどうやって振動魔法を三回も発動できたんですか?それだけの処理速度があれば、実技の評価が低いはずはありませんが」
市原先輩に正面から成績が悪いと言われて、達也は思わず苦笑いを浮かべた。だが、残念ながらそれは紛れもない事実だ。
二科生は、魔法技能となる三つの項目である、処理能力、キャパシティ、干渉力をとうごうした『魔法力』が劣っているから二科生なのだ。だが、今の達也の『波の合成』を通常でやれば、相当『処理能力』が優れていなければ不可能。よって、達也が二科生という事実と矛盾が生じてしまう。
しかし、それはあくまで『通常の方法」だったならば、というはなしだが。
「あの、もしかして、司波くんのCADは『シルバー・ホーン』じゃありませんか?」
と、そのとき今までチラチラと達也の手元、つまりCADを見ていた中条先輩がおずおずと口を開いた。
「シルバー・ホーン?シルバーって、あの謎の天才魔工師トーラス・シルバーのシルバー?」
生徒会長にそう問われて、中条先輩の表情がさっきとは打って変わって明るくなった。
「そうです!フォア・リーブス・テクノロジー専属、その本名、姿、プロフィールのすべてが謎に包まれた奇跡のエンジニア!」
嬉々として語り出した中条先輩に、俺は一つの確信を得た。
(ああ、この人、デバイスオタクなのか……)
なるほど、登校生徒会メンバーは常人のほうが少数なのか。と、勝手に失礼な結論を導き出した俺は、ふと達也の表情に疑問を覚えた。
中条先輩がトーラス・シルバーを誉めちぎっている中で、何故か達也は焦っているような、なんとなく「計算違いだ……」というような顔をしていた。
と、ここで俺の中の、ある一つの『仮説』が『確信』に変わった。
昨日、俺が森崎くんと模擬戦をしたときのことだ。俺が自分のCADである『シルバー・フィスト』を取り出したとき、達也が過剰に驚いているのを見た。そのときは、ただ珍しいCADだからかな?という程度のことだと思ったが、今回の反応と照らし合わせてみて分かった。
謎の天才魔工師、トーラス・シルバーの正体がね。
「__あっ、ループ・キャスト・システムというのはですね__」
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