暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
パンドラの箱
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どん視野が広がり、周囲の景色がよく見えるようになっていく。
同時に色もはっきり見えるようになり、カグラの緋袴の色やマイの純白の髪、周囲にいまだどぽどぽと広がり続けるレンの血が作る血溜まりの色も。
パキリ、と。明らかにこれまでと違う異質な音が響き渡った。
レンが思わず仰ぎ見るのと同時に、目の前に何かが落下して来た。紫色のそれは、明らかにマイを守る最後の砦、破壊不能表示ウインドウの欠片だった。
落下したそれは、ささやかな破砕音を振りまいて空中に溶けるように消えた。
「…………………………ッ!!」
喉が一瞬で干上がる。残された時間はもはや残り少ないことを、否応なく悟る。
「…システム的防壁の破損率94パーセント。これまでの侵攻速度から推測し、システム的防壁の残定耐久時間はおよそ一分十八秒と推測。結論、現状の作業能率では安定した状態で顕現させることは不可と判断。よって、現状態での顕現を検討……承認」
とつとつとマイの声が聴こえる。内容は全く判らないが、カグラには判るらしい。
よりいっそう険しい顔をし、ヒビの入った紫の窓を狂ったように殴りつける。
「止めなさいッ、やめなさいッ、ヤメナサイッ!!」
「…侵攻速度の上昇を確認。直ちに強制起動シークエンスを実行する。……周囲十メートルの座標adbfyozfnck,lnlclbbnl;vnvvmtl;muvwelfe16832432095432095からlnr;jf;skl;nddfg:sjgs;lgtyshgagjeo3259618941563649までの接続……成功。適格者は、指定のボイスコマンドの発声をやってください」
マイが発したその言葉がレンの聴覚を揺らす前に、レンの脳裏に電撃のように短い単語が閃く。
半ば反射的に叫ぶ。
「バースト・リンクッ!!」
世界が止まっている。
そのことにレンが気付いたのは、かなり遅まきだった。気付いたら周りの景色が止まっていた、と言う風なのだ。
狂ったように長刀を叩きつけていたカグラも、木々の葉のさざめきも、宵闇に凪ぐ弱い夜風さえも。
全てが、ビデオの一時停止ボタンを押したようにピタリと止まっている。
「なん…だ………これ……」
横たわったまま、レンは小さく呟く。いつの間にか、カグラに断絶された四肢の痛みが消えている。ちらりと見ると、切断面が綺麗に消失して元に戻っている。それをぼーっと見ながら、軽く拳を握ってみる。
若干ゆっくりではあるが、五指はちゃんと動いてくれた。
「う…………」
軽くうめきながら、立ち上がる。少しふらふらするが、立てないということは幸いなさそうだ。
そこまできて、やっとレンは周囲を見渡す。第
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