第24話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(1)
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いそうになるが、実はとんでもないことじゃないかと突飛な声を出した。
それをドッキリが成功したと言わんばかりにくすくすと笑いながら、リリーは答える。
「大丈夫よ、別に悪さしたって訳じゃないし。私達が部屋を抜ける間だけ、少し深く眠ってもらっただけだから、安心してちょうだいな」
「それに」そうリリーが言葉を続けようととした瞬間、目指す方向から一筋の青い光の柱が立ち昇った。
突如現れた光を、驚きのあまり目を見開きながら見つめるなのは。滔々と立ち上る光は夜闇の中その存在を声高に主張し、彼女の周りを青白く照らし出した。
「それにね、なのちゃん」
ぞっとするほどに冷たい声が、なのはの横からかけられる。突然変わった周りの空気に驚き飛び跳ねるように声の主を見ると、背中の中に氷柱を突っ込まれたかのような思いをなのはは味わうこととなった。
ただ、笑っていた。なのはの隣にいたリリーは、先ほどとは異なる、夢見るように恍惚とした笑みを浮かべて、眼前の光柱を見ていた。
光の柱を一心に見つめ、その元にいる誰かを思いながら、嬉しさを押し隠せないと言わんばかりの笑みを顔に浮かべていた。
たったそれだけ。ただ、目の前の彼女は笑っているだけだというのに。どうして、心臓を鷲掴みにされるような思いをするのだろうか?
「……それにね、なのちゃん。力を振るっていい相手と、そうでない相手の区別くらい私だってついているのよ?
だから、安心してちょうだい。あなた達には、絶対にそんな事はしないから」
「じゃあ、急ぎましょうか」視線をこちらに向けることすらせずそう言い残すと、リリーは純吾達ですら置き去りにして加速する。
リリーが目の前からいなくなった数瞬の間、重圧から解放されたなのはは何も考える事ができず、ただその場に立ち尽くしていた。
「……急ごう。今のリリーは、いけない」
しかし純吾が言った言葉を聞いて、弾かれたように走り始める。
“あなた達には“彼女はさっきそう言い残して行った。その言葉を信じるなら、自分たちは安全なのだろう。
しかし、“あなた達”に含まれない人達――確実にあの光柱の元にいるだろう、彼女に対しては、どうなるのだろうか?
先程まではたわいない話だと思っていた、リリーが悪魔だという事が、今は心に重くのしかかっていた。
段々と弱まってくる光を目印に、森の中を一心不乱に駆け、間もなく発動した場所なのだろう川辺にたどり着いた。
「あぁっ、話に聞いていた通り、本当に可愛らしいお嬢ちゃんねっ! それにやっぱりあの時の雌犬もいるなんて……あは、あははぁっ! 本当に、今日はなんて良い日なのかしらっ!」
そして、森の中に一筋だけ通って
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