第24話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(1)
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プリ。人の動きにも、敏感になれる」
そういってごそごそと浴衣から緑色の携帯をとりだす。どうやらアプリを起動していなくても、ある程度の恩恵を得られるようだ。
「それよりも、早く封印しに行こう。だいぶ大きな声出しちゃったし、気づかれたら旅館から出れなくなっちゃうよ」
「あっ、うん。けど、ここを出ようとしたら絶対お母さんたちの部屋を通らなきゃいけないからえっと……どうしよう」
急かすようなユーノの声になのはは答えるが、問題を思い出して段々と声を小さくさせる。流石に士郎や恭也ほどではないが、彼女の母親たちも勘は鋭い。部屋を横断しようものなら気づかれるのは必至だ。
「それも、大丈夫」
そう言って純吾は起き上がり、とてとてとふすまで仕切られた窓際へ向かう。
「ジュンゴたち、ジュエルシードの事は分からないけど、人の気配は分かる。今はみんな寝てるから、その中で動く人の事は、いつもよりずっと、分かる」
そう言いながら、障子に手をかけ、開ける。より鮮明になった月明かりが部屋全体に差し込んできた。
「それに、ジュンゴよりもリリー達の方が敏感だよ?」
障子に手をかけたまま、くるりと顔をなのは達に向ける。
窓の外には紺色の浴衣を着て羽を生やしたリリーが、その肩にシャムスを乗せ、月明かりに照らされながら微笑み、部屋の中へと手を振っていた。
「改めてって感じですけど、リリーさんってやっぱり人じゃないんですねぇ」
ジュエルシードの反応を頼りに、森の中を進んでいる時、なのはがリリーに尋ねる。浴衣からいつもの服に着替えた彼女の目の前には、リリーが蝙蝠のような羽を生やして宙を浮かびながら移動している。
なのはの声に、にっこりと笑いながらリリーは振り返った。
「そうよぉ。最近そんな扱いはされてないから忘れちゃいそうだけど、私ってこわ〜い悪魔なのよ」
「にゃはは…。怖い、ですか。確かにあの時は怖かったけど、普段が普段ですからねぇ」
頭の中に普段のリリーを思い出しながら、なのはが言う。初めて彼女以外の魔導師に遭ったあの日、静かに殺気を漲らせていたあの時以外のリリーは、純吾にダダ甘の年上のお姉さん、という風になのはの目には映っていた。
今日だって純吾関係以外では突飛な事をしているのを見ていないし今、こうやって翼を生やして飛んでいる方が違和感を覚えるし、あの日見た彼女は実は別人ではないのかと思えてくる。
「失敬ねぇ。さっきだってちょちょいっと夢魔の力を使って出てきたっていうのに」
「へぇ〜、だからお母さんたちも気が付かなかっ…………へぇっ!?」
可愛らしく――同性のなのはから見ても――唇を尖らせてそう言うリリーに、一瞬なのはは自然に受け答えしてしま
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