第24話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(1)
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たちが気を張らなければならない時間は、もう少しだけ続くようだった。
「いや、隣があれじゃあ、流石に起きちゃうよね」
大人たちが悪魔相手に必死の防衛戦を繰り広げている一方、その隣の部屋で固まって寝ていた年少組は目が覚めてしまったようで、こそこそと顔を見合わせて内緒話に花を咲かせていた。
「……ごめんね? みんな」
「ジュンゴが謝ることじゃないわよ。しっかし、普段から色々なタガが外れてるけれど、今日のあの二人ってそれ以上よね?」
月の明かりで薄ぼんやりとだが、純吾が申し訳なさそうにしているのを見てアリサは苦笑しながらそういう。話を聞いていたなのはもすずかも枕を顎の下に置いて、うんうんと小さく首を振る。
「ん…。リリーも、シャムスも、こんなトコ初めて。だから、嬉しい?」
「あぁ〜。旅行先ですっごいはしゃいじゃうのって、確かにあるよねぇ。えっと、旅の恥はかき捨てって昔からよく言うし、きっと旅行するとみんな大胆になるんだね」
「いや、最後のことわざは絶対使いどころ間違えてるわよ、なのは」
純吾の推測に妙な納得の仕方をするなのはを見て、アリサが嘆息した。けれどもすぐに愉快気に口の端を釣り上げ、顔をもう一人の少女の方へ向ける。
「けど、大胆になるっていうのは賛成かも。ねっ、すずか」
「あっ、あの時は間違ってお酒飲んじゃったから! 本当に、それだけだったのっ!」
唐突に親友からニヤニヤとした笑みを向けられたすずかは、すぐに顔を真っ赤にしながらもそう言い返した。
実は夕食の時、どうしてかすずかのコップの中にお酒が入っていて、見事に酔っぱらった彼女が純吾にしなだれかかる、食事を持ってきて「あーん」としたり、逆にそれをしてもらおうとするなど、積極的に彼に絡んでいくという一座があった。
それを見て、せっかく純吾から距離を離して食事をさせていたリリーが「私も私も〜♪」と、混乱に乗じて近づき、案の定シャムスに邪魔され喧嘩を始めるなど場を渾沌とさせ。
周りはニヤニヤしながらそれを眺め、酔いからさめた後に面白おかしくその様子を聞かされたすずかが、また顔を真っ赤にして真っ先に布団をかぶって不貞寝しまうなど、一日の最後までイベントに事欠かない結果となった。
その事をぶり返された事が発端となってか、女子だけでわいわいと話が盛り上がる。
と、ふと小さく押し殺しているかのような笑い声がしているのが聞こえた。
「って、何笑ってんのよジュンゴ。あんたもあれの被害者でしょーが」
ジトっとした目で笑い声の方――純吾の方をアリサは向く。すずかがまた真っ赤になって「被害者って、私もだよっ」と言っていたけれども、それは無視。
くすくすと小さく笑っていた純吾は、「違う
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