第百十六話 三杯の茶その十
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くしてもらったからのう」
「別にわしはな」
「意識してしたというのではないな」
「特にそのつもりはない」
ただ自然にそうしただけだというのだ。
「わしは意地の悪いことない嫌味なり皮肉なりは好まぬしな」
「人を常に立ててくれるな」
「それが当然だと思うしのう」
「そう思える奴は少ない」
人の世には、というのだ。
「だから御主を友人に持てたことは有り難い」
「そう言ってくれるか」
「皆色々と言う、だがわしは御主の共だ」
大谷はこう言って憚らない。
「後ろは安心せよ」
「御主も後ろはわしがいる」
人に何かをしてもらうと返さずにはいられない性分だ、石田はそうした男だからその大谷にこう返したのである。
『同じじゃな」
「そうじゃな、同じじゃな」
「では行って来る」
石田はあらためて大谷に告げた。
「島左近の家はわかっておる、そこに行ってじゃ」
「そのうえでか」
「吉報を待っておいてくれ」
「それはなだ
二人はこう言葉を交えさせて別れた。石田は敵の多い男だが竹馬の友もいた、見ている者には見てもらる男なのだ。
第百十六話 完
2012・11・28
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