TURN60 義兄と義妹その五
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「君達には引き続き頑張ってもらう」
「そういうことなのね」
「そうだ。だが俺は財閥だけを考えて動きはしない」
ダグラスはこのことも言う。
「太平洋経済圏にも賛成だがな」
「それでもなのね
「ガメリカ全体のことを考える」
どうしても財閥の影響が強いルースとは違うというのだ。
「そうして政策を考えて行っていくことは言っておく」
「そう、わかったわ」
「別にそれでもいいんだな」
「確かにあたしはキリング家の娘よ」
キャロルはダグラスにこう返す。
「末っ子だけれどね」
「お兄さん達がいたな」
「ええ、姉さんは私のすぐ上でね」
兄弟の中ではそうだったというのだ。
「あたしなんかよりずっと凄かったけれど」
「四姉妹のリーダーでかつては国務長官だったな」
「ミッちゃんも信頼してたわ。ハンナはその時は国防長官で」
「君は大統領の次席補佐官だったな」
「正直それなりにミッちゃんも好きなんだけれどね」
大統領として彼なりに必死だったからだ。
「まあ今はこんな状況だけれど」
「仕方ないな、少し講和を無理強いし過ぎたみたいだな」
「ええ、ハンナもクーもガメリカのことを考えてだったけれど」
意見の相違から生じた暴走、国を考えることは大事だがそれは時として悲劇を招いてしまうということだった。
「ちょっとね」
「政治も色々あるからな」
「そういうことね。じゃあ」
「ああ、もう少しだ」
話は脱出のことに戻った。二人は路地裏に潜んだままだ。
「俺が援護する、何とかそこに辿り着くんだ」
「戻って来るからね」
変装で眼鏡をかけ粗末な私服のキャロルはここで立ち上がった。
「それまで待っていてね」
「アイシャルリターンか」
「あんたがマニラで言った言葉よね」
「今は懐かしいな」
自分が聞くと余計にだった。ダグラスは少し笑って言った。
「もうかなり前の話に思える」
「思い出に浸る余裕もこれからね」
「ああ、できればいいな」
「じゃあ。あたしは行くから」
「ナイトにならせてもらおうか」
ダグラスも立ち上がって言う。彼はまだガメリカ軍の軍服姿だ。
「カウボーイのヒーローにでもな」
「あんたそういえばカウボーイも演じてたわね」
「ガンマンにも騎兵隊にもなったさ」
西部劇のヒーローも数多く演じてきたのだ。
「中々楽しかったな」
「じゃあここはカウボーイになってくれるかしら」
西部の騎士と言われた彼等にだというのだ。
「お姫様を護るね」
「随分やんちゃなお姫様だな」
「ヤンキーガールだからね」
キャロルはあえて余裕の笑みを作ってダグラスに返す。
「そうなるのよ」
「そうか。じゃあやんちゃなお姫様はな」
「今から華麗な逃避行よ」
「少なくともUSJまでは確実に連
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