第67話 =協力=
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名前を呼ぼうとするがそれで察しがついたのか、開き直り始めるシグルド。
「…アイツ、斬りに行きたいんだけど」
「落ち着けって…」
こちらでは自分の種族を無能と呼ばれたことに腹を立てているのか笑顔で物騒なことを言う人がいるのに…。シグルドは役職を剥奪か懲罰金かなどと普通にありそうな罰を予想していたらしく次々と口にするがサクヤさんの対応はその普通とはかけ離れたものだった。
「いや、シルフでいるのが耐えられないならその望みをかなえてやることにした」
優美な動作でサクヤさんが左手を振ると通常とは違う大きなウィンドウが出現し、その上に指を走らせるとシグルドの前に1つのメッセージが送られるのがわかった。
『貴様ッ!?……正気か!?俺を…この俺を追放するだと?』
「そうだ。レネゲイドとして中立域を彷徨え。いずれそこに新たな楽しみが見つかることを祈っている」
権力という抗いようの無いの力によりシグルドはそこから姿を消し、鏡の中に写るのは無人の執政室だけとなった。やがてその表面が波打つと同時に儚い音を立てて砕け散る。
「……サクヤ……」
再び静寂がこの場を支配し、眉を深く寄せたままのサクヤの心配してからかリーファがそっと声をかける。それに答えるかのように左手を振ってメニューを消すと吐息交じりの笑みを浮かべた。
「……私の判断が間違っていたのか、正しかったのかは次の領主投票で問われるだろう…ともかく――礼を言うよ、リーファ。執政部への参加を頑なに拒み続けた君が救援に来てくれたのはとても嬉しい。それにアリシャ、シルフの内紛のせいで危険に晒してしまってすまなかったな」
「生きていれば結果おーらいだヨ!」
のんきな声を出すケットシー領主に自分の中の領主像と違っているのかサウスは頭を抱えて葛藤しているなか、リーファがぶんぶんと首を横に振る。
「あたしは何もしてないもの。お礼ならこの2人に言って」
「…そうだ。そういえば君たちは一体……」
何者だ?と言いたげな視線で改めてサクヤさんとアリシャさんにマジマジと見られる。
「…ねェ君たち。スプリガンとウンディーネの大使とその護衛……ってほんとなの?」
どうやって動かしているのか判らないが好奇心が自立して動いているのかゆらゆらと尻尾を揺らしてアリシャさんが言う。それに対してどうやって嘘だと言うことを伝えるか悩んでいると…
「もちろん大嘘、ブラフ、ハッタリ、ネゴシエーション」
と腰に手を当ててさわやかに言っている男が。裏で「パッパカパー」とかいう陽気なラッパでも鳴っていそうな、そんなイメージさえ抱かせるほど彼はすがすがしかった。それを見た両種族の領主は口をガクンと開けて絶句している。
「…ちなみにヴォルトとの貿易って言うのも
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