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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
Four days
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グラは、閉じていた目を静かに開き、
「もう一度問います」
カグラは僅かに両眼を細める。
「私は彼女を《回収》したいのです。なので直ちにその子を引き合わせてください」
カグラの声には、一切の淀みがない。その声は明確に言っていた。
この程度のことで驚くな、と。
その声に、レンは答えない。ただ両腕をじりじりと上げ、戦闘体勢を取る───
ゴッ!と言う音が再度響く。そして鮮血とともに、レンの両腕が宙を舞った。同時に灼熱した痛覚が、神経を焼く。
「がッ………ぁ」
思わずどさりと地に膝を着ける。手首辺りに新たに出現した切断面からは、冗談みたいな量の鮮血が滴っている。
せめて逃げようと思って、足にぐっと力を入れる───
ゴッ!三度の轟音。
力を入れた足が、ふくらはぎのところでズルリと斜めにずれる。どさっと地に着いた顔に、土がこびり付く。鼻に宵闇の空気をたっぷり吸い込んだ草の匂いが入り込む。
さくさく、と草を踏む音。
気配からして、カグラはレンを見下ろしているのだろう。しかし、それが背のマイを見ているのか、レンを見ているのかは判らない。
「………なぜあなたはそこまでしてその子を守るのですか?」
聴こえてきたのは、むしろ痛々しそうな小さな声。
「あなたが彼女にそこまでする理由はないはずです。我が主の加護を一身に受ける攻撃から、三十秒も逃げ切れれば上等です。それだけやれば彼女もあなたを責める事はしないでしょう」
「…………………………」
痛みで朦朧とする意識で、レンは考える。
そう、なのだろう。あの純白の少女はレンが何をやったところで責めたりするはずがない。むしろ、あの無垢な笑顔を浮かべて礼を述べるだけだろう。
だけど、とレンは思う。
だからこそ、レンはその無垢でその少女の髪の色のように真っ白な笑みを守りたいからこそ、レンは諦めたくないのだと。
もう、唯一動かせる部位になってしまった首を動かし、頭上にあるカグラの目を真正面から睨みつける。喰おうとするように、喰いつくさんとするように。
その両眼には、いまだ戦うという意思がはっきりと映っていた。
手が無くなれば、蹴り殺す。
足が無くなれば、噛み殺す。
頭が無くなれば、呪い殺す。
そんな意思が。
「………仕方ありませんね」
諦めたように息を吐き、カグラは今度はゆっくりと長刀を抜刀する。
初めて目にする事ができたその刀身は、宵闇の光を反射して輝いていた。こんな状況だったが、レンは綺麗だな、と思った。
その切っ先が真っ直ぐ自分の脳天に向けられる。
───終わりか………。
さすがに諦めの念が、心を満たす。レンは緩やかに目を閉じる。
そ
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