アインクラッド編
鍛冶屋の少女
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「そんな話をしにきたんじゃなくて!」と1人で盛り上がって再度口を開く。
「アスカ、あんた本当に研磨しなくていいの? 私のところにも6、7人が来たけど全員2時間の戦闘じゃ信じられないくらい武器の耐久値減ってたわよ」
「ああ、俺とキリトは武器の耐久値3割も削られてないから問題ない。鍛冶屋に無駄に負担かけるわけにもいかないからな」
「こっちもちゃんと報酬貰っての商売なんだから心配しなくてもいいわよ・・・・・」
そこで、今度はサチの時と異なり値踏みするような視線がキリトに突き刺さる。
「な、なんだよ・・・・・・」
キリトはやはり女性プレイヤーであることを隠したいのだろう。低い声で訊ねる。
「あんたがキリトよね? ・・・・・・なんか、あんまり強そうな見た目してないわねー・・・・・・コートもボロそうなの着てるし」
リズベットも男であると勘違いしているからか、結構失礼なことを言っている。
アスカはリズベットの取り繕わない、いらぬ気遣いをする必要がない態度が好ましいと思っている。
だが、それを全員が全員好ましく思うかは無関係だ。
「こんな見た目だけどアシュレイさんのオーダーメイドの一点物だぞ」
「はあっ!?」
キリトの返しにリズが素っ頓狂な声を上げる。
そして、
「ばっかじゃないの!?」
と、続けた。
「ば、ばかって・・・・・・」
「だって、あんたあのアシュレイさんにオーダーメイド頼んだんでしょ? そんな質素なコート作らなくてもいいじゃない。あの人ならもっと格好いいコート作れるでしょうに」
「お、俺が気に入ってるんだからいいだろ・・・・・・」
「まあ、人の好みにケチ付ける気はないけどさ・・・・・・でも、その格好はないんじゃない。なんで全身真っ黒でマフラーまで巻いてるのよ。まるで顔を隠したいみたいじゃない」
ぎくっ! という異音がキリトと〈月夜の黒猫団〉5人から発せられた気がした。
アスカも内心少し焦る。
まるで、ではなく実際に顔を隠したいのだ。
リズベットの読みは見事的中している。
「違うんだよ、リズ。キリトはちょっと引っ込み思案な性格でさ。あまり人目に付きたくないんだよ」
「そ、そうそう。あんまり目立ちたくないんだ」
しかしながら幸い、ケイタが良いタイミングでフォローを入れて、キリトもそれに乗っかる。
横でサチやダッカーも、肯定の意を示すためにか勢いよく首を縦に振る。
「・・・・そうだとしても他のやり方があるでしょーに・・・・」
まだ少し納得がいっていない様子だが、本人だけでなく〈月夜の黒猫団〉の面々が加わったことが効いたのだろう。リズベットが引き下がる。
そこで話を変えるべくアスカが口を開く。
「リズは昼食どうしたんだ?」
そう訊ねる
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