第四話 聖竜の女剣士
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か。
「くそっ、なんでこの俺が気を揉まなきゃならないんだか……!」
我ながらお人好しだ。俺は舌打ちして索敵スキルからの派生スキル、追跡を発動させる。
カズラの足跡は拍子抜けするほどあっさり見つかった。
俺の足元に、なんだかフラフラと落ち着きのない足跡が見える。これをたどった先にカズラがいるはずだ。
しかし気になるのは、カズラの向かう先が俺の隠れ家の方向だったことだ。あそこはアルゲードでも特に道が複雑で、慣れてないヤツは確実に迷う。
なぜカズラがわざわざ細道の奥にある俺の隠れ家に向かっているのか分からないが、面倒なことには変わりがない。
どこまで面倒な女なんだ。俺はくしゃりと頭を掻く。
「あー、メンドくさ」
もう帰ってしまおうか、と楽なほうに気持ちが傾き始める。
そんなとき、カズラの足跡が道から外れた。
「ここで道間違えちゃったわけか」
カズラにしては頑張ったほうだが、俺の隠れ家まではまだまだ遠い。
しかし、これで本格的に面倒になった。このまま俺の隠れ家にたどり着けていたなら追ってやってもよかったが、わざわざ探してやろうとは思えなかった。
さて帰って昼寝でもするか、と身体を伸ばしながら帰路につく――。
「――待てよ」
――がすぐに足を止めた。
そういえばつい最近、カズラが向かった先の貸家に嫌な感じの男が住み着いていたはず。
もし俺の嫌な予感があっていたりすれば、カズラのことだから簡単に騙されてホイホイついて行きかねない。
「アホ、考え始めたら気になって仕方がねぇだろーが」
俺は自分に呆れつつ、爪先の方向を変える。
帰路から外れカズラのあとを追ってものの数分、俺は目的の後ろ姿を発見した。
女性としては長身の、鋭利な雰囲気の後ろ姿。黒い髪は肩で切り揃えられており、背筋がピシリと伸びている。
そして俺の嫌な予感通り、先日ちらりと見た、不健康そうで目に不気味な光を宿した男もいた。
やれやれと思いつつ、カズラの背後に近づいていく。
「やあカズラ、待たせちゃったかな?」
馴れ馴れしく言うと、カズラの肩に右腕を回す。これだけで十分ハラスメント行為なのだが、彼女に限ってなら、おそらく監獄エリアに飛ばされることはないはずだ。
「ジル、暑苦しいので離れてくれませんか?」
「つれないなぁ……、せっかく久々に会ったってのに」
真顔で返すカズラに苦笑する。確かにつれない反応だが、特に嫌悪している様子もない。
こちらに顔を向けたカズラの顔立ちは、さすがに五指に数えられているだけあってかなり整っていた。やや目元はつり気味だが、それも彼女の魅力となっている。
俺はカズラから少し離れて、今気づいたように彼女と向き合っていた男に視線を向けた。
「――で、そこのアンタ
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