第一幕その三
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ショナールに問うた。
「いきなりこんなものを持って来て」
「まるで犯罪者みたいに言うな」
マルチェッロの顔を見て顔を顰めさせた。
「何だってこんな。これだけのものを」
「それは僕の才能に対する正統な報酬なんだ」
「報酬!?」
「そうさ、ほら」
懐からコインを取り出した。
「これが何よりの証拠さ」
そこにはフランス王が描かれている。ルイ=フィリップだ。その顔が描かれていることが何よりの証拠であった。
「ほら、わかっただろ」
「うむ」
「陛下の御顔を見せられてはな」
三人も納得するしかなかった。
「実は今日街でバイオリンを弾いていつもの小銭を稼いでいると一人の紳士が声をかけてくれたんだ」
「紳士が」
「そうさ。イギリスから来た紳士でね。パリにある別邸でバイオリンを聴きたいと仰っていたんだ」
「そして君はそれに乗った」
「その通り。自己紹介をしてね。おっと、そっちに行ってもいいかな」
「ああ、来いよ」
コルリーネはそれを受けて彼も暖炉の側に誘った。
「寒いだろ」
「悪いな。確かに寒かったよ」
そう言いながらテーブルの上にパンとワインを置いていく。それから暖炉の側に座った。
「まあこれでも食べて」
「パイもあるのか」
「ソーセージもあるぞ」
「おいおい、本当に豪勢だな」
三人はそうした山の様な食べ物を見て目を細めた。
「こんなものまであるなんて」
「それで話の続きだけれどね」
「ああ」
四人はそれぞれその手に食べ物やワインを手にしている。それ等を口にしながら話をし、それを聞いていた。
「オウムと勝負しろって言われたんだ」
「オウムと!?」
「ああ、結構芸達者なオウムでね」
ショナールはここでワインを口に含んだ。ボトルからそのまま口に流し込む。
「歌が歌えたんだ。それも何曲もね」
「面白そうなオウムだね」
「ところがそのオウムと勝負しろ、だ。曲が尽きた方、つまり止まった方が負けで。負けたら報酬はなし」
「それでどうしたんだい?」
こう問うた。
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