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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 前編
Determination of black
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した後に、開かれた扉の向こうに見える螺旋階段を登っていく。マサキは彼女が何を話したのか少し気になったが、大したことはないだろうと判断を下し、誰からともなく入り口に向かい始めたプレイヤーたちの流れに乗って、体を翻した。顔だけを90°回し、何か言葉を発するわけでもなくただ突っ立っているトウマを促した。

「トウマ、行くぞ」
「え? あ、ああ……」

 歯切れの悪いトウマの足音が自分を追って響くのを確認し、マサキは部屋を出た。


 それから彼らが迷宮区を出るまで、さほど時間はかからなかった。そういう仕様になっているのか、それとも単に運がいいだけなのかは定かではないが、いずれにせよ、これは幸運だった。今のパーティーには、士気などあってないようなものだったのだから。

「……っ!」

 迷宮区を抜け出したマサキの網膜を、数時間ぶりの陽の光が灼いた。マサキは咄嗟に右手をかざし、瞳孔が閉じるのを待つ。三十秒ほどの間を置いてマサキが手を下ろすと、先ほど体内に入り込んだ光がついに胴体まで到達したらしく、胸の奥をちくりと焼いた。ふと振り返ると、空に消える迷宮区の塔が、さっきまでよりも、少しだけ眩しく見えた。

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