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我が剣は愛する者の為に
エイプリルフールネタ
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た。
老当主が手で示した祭壇の上には、仰々しく梱包された黒檀の長櫃が載せられている。

「この品を触媒にすれば『剣の英霊』を召喚できる。
 聖遺物を見る限り、かなりの使い手を見える」

「お言葉ですが、当主。
 その英霊とは?」

「残念ながらどの史実にも載っていない。
 しかし、聖遺物から察するにかなりの英霊だ」

心の中で悪態をつきながら、深々と頭を垂れる。

「ご協力痛み入ります」

アインツベルンが開祖以来の伝統を破って外部の血を迎え入れた事を、聖杯は何の不思議もなく受け入れたらしい。
切嗣の右手には既に、参加の資格である『令呪』が刻まれている。
聖杯戦争は自ら志願して参加するのではなく、聖杯が参加者を決める。
その証が『令呪』である。

「アイリスフィールよ、器の状態は?」

「何の問題ありません。
 冬木においても、つつがなく機能するものと思われます」

淀みなく返答するアイリスフィール。
願望機たる万能の釜は、それ単体では霊的存在でしかなく実体を持ち合わせていない。
『聖杯』を完成させるには、依り代となるべき器が必要で、それに降霊させる必要がある。
それを巡る七人のサーヴァントの争奪戦そのものが、いわば降霊の儀式と言っていい。
器の提供は代々アイツンベルンが。
聖杯を降霊させるために必要な霊地の提供は、戦いの土地である冬木を管理する遠坂が。
マスターの資格とサーヴァントを縛る技術の提供はマキリ、とそれぞれが秘匿を提供し合って成り立っている。
今回、第四次聖杯戦争で『器』を預かる役を任せられたのがアイリスフィールである。
器として作られた彼女は、人工の人間、つまりホムンクルスだ。

「今度ばかりは……ただの一人たりとも残すな。
 六のサーヴァント総て狩りつくし、必ずや第三魔法、天の杯を成熟せよ」

「「御意に」」

魔術師とホムンクルス、ともに運命を負わされた夫妻は、呪詛めいた激情を込めて発せられた当主の勅命に、声を揃えて返答する。
その中で切嗣は胸の中で呟く。

(いいだろう。
 お望み通り、あんたの一族が追い求めた聖杯はこの手で完成させてやる。
 だが、それだけでは終わらせない。
 万能の釜の力を以て、僕は僕の悲願を遂げる)

私室に戻った切嗣とアイリスフィールは、当主に託された長櫃を開け、その中身に目を奪われていた。

「これは……」

思わず呟きながら、聖遺物を手に取る。
それは刀だった。
鍔は竜の顔が彫られていて、柄や鞘は純白。
鞘から刀を抜こうとするが引っ張ってもビクともしない。

「これが八〇〇年前の武器とは思えないわね。
 その刀が抜けないと見ると、持ち主しか抜けないのね」

アイリスフィールの言葉に切嗣は思わ
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