プロローグ
[2]次話
…人生は物語だ、なんて言葉を耳にしたことはないだろうか。ドラマチックな人生はあたかも魅力的な物語のように人を引き付ける、ということ。
私は幼い頃、シートン動物記という伝記に深く魅了されたことがある。
動物は好き。と同時に苦手。犬には吠えられるし、猫にはお尻を向けられる。…相性が悪いのかな?楽しく触れ合いたいだけなのに……。
…話が逸れたね。要するに私が言いたいことは、伝記のような人の生き様を綴った物語は面白いということ。
このお話も一人の少年の人生の一部を追うことになる。皆さんもご存知だろう。《SAO事件》と呼ばれる事件のことを。
あの事件で一万人もの人々がゲームの中に閉じ込められ、最終的には六千余りの者しか生還しなかった。かく言う私も、実は運よく生還した者の一人だったりするが。
あのゲームのクリア条件は、ゲームの舞台である浮遊城《アインクラッド》の百層もあるすべての階層の踏破だった。
ただ、ゲームからの解放時、最前線は七十五層。普通のクリアじゃないよね?
つまりは、何かミラクルを起こしたプレイヤーがいたのだろう。そんな型破りなことをやらかすプレイヤー、一人しか思いつかないのだがそれはまた別の話。
前振りが長い?じゃあ、主人公の紹介をして、それから始めよう。
彼の名はカイト。もちろん、ゲームの中での名。本名は必要ないよね。何と言ってもこれはゲームの中の話なのだから。
彼は…これといって紹介する特徴がない。容姿も特別かっこいいわけでなく、不細工なわけでなく。学力もずば抜けて良いわけでなく、さりとて苦手なこともなく、なんでもそこそこはこなせてしまう。運動神経も中の中。
一言でいえば平均的、というところ。
ここで読む気が失せた?確かに面白みに欠けた主人公かもしれないが、そんな彼がどう変わっていくかを追うのが面白いのではないか。
ということで、そろそろ始めよう。
…私が誰か?それは読むうちに分かるかもしれないし、最後まで分からないかもしれない。私が誰かを考えながら読み進めるのも楽しいかもね。
しかし最後に一つ、面白みを加えよう。このままでは主人公として余りに不憫だから。
片手剣に青っぽい装備の彼は後に、《亜流の剣士》と呼ばれることになる。
散々引っ張ったが、もう始めよう。物語を始める、魔法の言葉はわかるよね。カウント三つで唱えよう。
では、三…二…一……
『リンク・スタート』
[2]次話
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