第六章 贖罪の炎赤石
第七話 贖罪
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た。
「これ……は……」
アニエスが食堂を見回す。
生き残っていた傭兵たちの体に、床から突き出てきた槍が突き刺さっていた。傭兵たちは、全身を赤く染めながら、小さくも荒い息をしている。
「一応殺してはいないよ。色々聞きたいこともあるだろ?」
再度聞こえてきた声に向かって、顔を勢い良く向けると、そこにはメンヌヴィルを連れ中庭に飛び出していったロングビルの姿が。ロングビルはあちこち黒く焦げた服を揺らしながら、食堂に入ってくると、ぐるりと周りを見渡した。
「外した奴はいないようだね……ま、メンヌヴィルみたいな奴がそうそういてたまるかっての」
脅威がないことを確認したロングビルは、生徒を縛っていたロープを切りはずし始めた。
「……ミス」
「何だい隊長さん」
「…………」
アニエスに顔を向けることなく、ロングビルは生徒を縛るロープを黙々と切りながら声を向ける。
「あの男はどこだ」
「ん? ああ、メンヌヴィルはコルベールが殺したよ。ふん……やれば出来るじゃないか……なぁ? あんたもそう思うだろう」
「違うッ!! コルベールの方だっ!! 奴は今どこにいるッ!!?」
激昂するアニエスに、食堂中の視線が集中する。しかし、ロングビルは驚く様子は見せるどころか、振り返りもせずロープを切り続けていた。
「ッッ! 答えろッ!!」
「……うるさいねぇ」
手の届く範囲の生徒のロープを全て切り終えたロングビルは、ゆっくりとした仕草で立ち上がると、背後でわめきたててくるアニエスに振り返った。
「いいかッ……ら……ぁ」
「五月蠅いって……言ってるんだよ」
振り返ったロングビルに言い募ろうとしたアニエスだが、その声は尻すぼみに消えていった。
「っ……く……」
「助けてくれた礼も言わず詰問たぁ、随分と偉いもんのようだね銃士隊という奴は」
「……っ……」
それどころか、逆に詰め寄ってきたロングビルに押されるかのように、後ずさっていく。
「……コルベールの居場所を聞いて、どうするつもりなんだいあんたは」
「っ! 決まっている! あの男が本当に『魔法研究所実験小隊』の――」
「ああそうだよ。隊長だった」
「ならばっ」
ロングビルが肯定すると、後ずさるアニエスの足が止まり、手に握った抜き身の剣に力が入る。
「どうするんだい?」
「そんなのっ――」
「殺すのかい」
「「「「―――っっ!!??」」」」
ロングビルの言葉に、食堂にいる者の全てが息を飲んだ。
例外はそれを予想していた者だけ。
アニエス。
ロングビル。
そして……オスマン氏。
「「「「「………………………」」」」
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