第六章 贖罪の炎赤石
第七話 贖罪
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げ回るコルベールをあざ笑うが、反撃も返事も何もない。
「今さら怖くなったとでも言うつもりかっ!!」
食堂の姿が見えなくなるほどの離れるコルベールの背中に火球を放ちながら、メンヌヴィルは駆ける。コルベールはメンヌヴィルに何の反撃もしない。ただ自分に当たる火球を振り返りもせずに、杖から出した炎蛇で焼き潰すだけ。
「いい加減にしろっ!!」
ただ逃げるだけのコルベールに業を煮やしたメンヌヴィルは、巨大な火球をコルベールに向け放つ。巨大な火球は、コルベールが放った炎蛇にその身を削られながらも、その目的を果たす。直撃はしなかったが、近距離で爆発した火球の爆風により、コルベールは吹き飛ばされた。何メイルに渡って吹き飛ばされながらも、コルベールは膝を立て立ち上がろうとする。
「これでっ! ――つあっ!?」
足が止まったコルベールに止めを刺すことに集中するあまり、足元がおろそかになっていたのか。メンヌヴィルは泥濘に足を取られ転けてしまう。しかし、メンヌヴィルは慌てることなく、そのまま泥濘の中を転がり、泥だらけになりながらも勢いを殺さず立ち上がると、杖の切っ先をコルベールに突き付ける。
「ここまでだな」
月を背に立つメンヌヴィルが杖を向けている。
コルベールとメンヌヴィルとの距離は十メイル程度。メンヌヴィルが火球を放てば、コルベールに避ける術はない。
「……もう止めにしないか」
「は?」
唐突に掛けられた言葉の意味が理解出来ず、メンヌヴィルが間の抜けた声を上げた。
「わたしはもう、命のやり取りをしたくはないのだよ」
「……ああそうかい……なら良かったな、これからはもう、命のやり取りをすることはないぞ」
追い詰められたコルベールが口にした気弱げな言葉に、メンヌヴィルの心が怒りを通り越し失望に満ちる。メンヌヴィルは、完全にコルベールに興味をなくし、ゴミを燃やすかのような態度で炎を放ち。
「ッッッッ!!!! ッぁあぁっぁぁっぁぁっぁっぁぁっぁ???!!!!」
全身が燃え上がった……メンヌヴィルの身体が。
杖の先から炎が姿を見せた瞬間、メンヌヴィルの全身に火が回った。一瞬で火だるまとなったメンヌヴィルの身体が、地面を転がる。自身の炎の強さが強かったのが災いし、メンヌヴィルが地面に転がった時には既に死んでいた。
立ち上がったコルベールは、薪のように燃え続けるメンヌヴィルを感情が見えない瞳で見下ろしている。
「……先ほど、わたしの授業を受けてみたいと言っていたが」
コルベールは、ロングビルの下に向かう前に、事前に罠を用意していた。
罠としては至極簡単なものである。それは所謂落とし穴に近いものであった。最近作り慣れたある液体で沼地と化した場所にメンヌヴィルを
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