第四幕その四
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」
「カルチェ=ラタンで。もう一度遊びましょう」
窓をつがいの燕が飛んでいく。
「あの燕みたいに」
「巣へ帰って行くんだよ、あの燕は」
「巣に」
「うん。近くに巣を作っていてね。そこにいるんだ」
「そうなの」
ミミはそれを聞いて考える顔になった。
「私達も。そうなりたいわね」
「あの燕達みたいに一緒に」
「ええ。ずっと暮らせたら」
「きっとそうなるよ」
ロドルフォはこう言ってミミを励ました。
「きっとね」
そう言いながら立ち上がる。そして壁にかけているボンネットをミミの側に持って来た。
「これはあの時の」
「そうさ、ずっと取っていたんだ」
ミミの顔が喜びで晴れやかになった。ロドルフォの目も本当に優しいものになる。
「君との思い出は。全部覚えてるよ」
「・・・・・・有り難う」
ボンネットを受け取る。その目に涙が浮かんでいる。
「最初に会った時は」
「真っ暗闇の中だったね」
「私が灯かりをなくしてしまって」
「僕のところにきて」
「鍵までなくして」
「探している時に手が触れて」
「それが全てのはじまりだったわね」
「まるで昨日のことみたいだ」
ロドルフォの目も潤んでいた。
「あの時の君の手は本当に冷たかった」
「貴方の手は。驚く程暖かかった」
「クリスマスに遊んで」
「このボンネットを・・・・・・うっ」
また急に咳込みはじめた。
「ゴホッ、ゴホッ」
「ミミ、大丈夫かい!?」
ロドルフォは慌てて彼女を抱き締める。
「え、ええ」
ミミも必死にロドルフォを安心させようとする。
「大丈夫よ。だから」
「わかったよ。それじゃあ」
ミミから離れて椅子に戻る。そこへショナール達が戻って来た。
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