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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
ユイの正体
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、彷徨いました……。その頃にはもうわたしはかなり壊れてしまっていたのだと思います……」
「それが、あの22層の森なの……?」
ユイはゆっくりと頷いた。
「はい。キリトさん、アスナさん……わたし、ずっと、お二人に……会いたかった……。森の中で、お二人の姿を見たとき……すごく、嬉しかった……。おかしいですよね、そんなこと、思えるはずないのに……。わたし、ただの、プログラムなのに……」
涙をいっぱいに溢れさせ、ユイは口をつぐんだ。アスナは言葉にできない感情に打たれ、両手を胸の前でぎゅっと握った。
「ユイちゃん……あなたは、ほんとうのAIなのね。ほんものの知性を持っているんだね……」
ささやくように言うと、今まで黙って事の成り行きを見守っていたレンが、唐突に言った。
「………ねぇ、ユイちゃん。ユイちゃんがAIなら、双子って言うマイちゃんは……」
レンのその問いに、ユイはわずかに首を傾けて答えた。
「わたしには……わかりません……。わたしが、どうなったのか……」
その時、いままで沈黙していたキリトがゆっくりと進み出てきた。
「知性とは……自己の相対化ができるということだ。自分の望みを言葉にできるということだよ」
柔らかい口調で話し掛ける。
「ユイの望みはなんだい?」
「わたし……わたしは……」
ユイは、細い腕をゆっくりと二人のほうに伸ばした。
「ずっと、いっしょにいたいです……パパ……ママ……!」
アスナは溢れる涙をぬぐいもせず、ユイに駆け寄るとその小さな体をぎゅっと抱きしめた。
「ずっと、一緒だよ、ユイちゃん」
少し遅れて、キリトの腕もユイとアスナを包み込む。
「ああ……。ユイは俺たちの子供だ。家に帰ろう。みんなで暮らそう……いつまでも……」
だが――ユイは、アスナの胸のなかで、そっと首を振った。
「え……」
「もう……遅いんです……」
キリトが、戸惑ったような声でたずねる。
「なんでだよ……遅いって……」
「この場所は、ただの安全エリアじゃないんです……。GMがシステムにアクセスするために設置されたコンソールなんです」
ユイがちらりと視線を向けると、部屋の中央の黒い石に突然数本の光の筋が走った。直後、ぶん……と音を立てて表面に青白いホロキーボードが浮かび上がる。
「さっきのボスモンスターは、ここにプレイヤーを近づけないように配置されたものだと思います。わたしはこのコンソールからカーディナルにアクセスし、オブジェクトイレイサーを呼び出してモンスターを消去しました。その時にカーディナルのエラー訂正機能で破損したデータを復元できたのですが……それは同時に、いままで管理外にあったわたし
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