暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
ユイの正体
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こんと腰掛けたユイを無言のまま見つめていた。レンはマイと一緒に部屋の壁際に二人でもたれかかっている。
ユリエールとシンカーにはひとまず先に脱出してもらったので、今は五人だけだ。
記憶が戻った、とひとこと言ってから、ユイは数分間沈黙を続けていた。その表情はなぜか悲しそうで、言葉をかけるのがためらわれたが、アスナは意を決してそっと話し掛けた。
「ユイちゃん……。思い出したの……? いままでの、こと……」
ユイはなおもしばらくアスナを見つめつづけていたが、やがてこくりと頷いた。泣き笑いのような表情のまま、小さく唇を開く。
「はい……。全部、説明します――キリトさん、アスナさん。そして……レンホウさん」
その丁寧なことばを聞いた途端、アスナの胸はやるせない予感にぎゅっと締め付けられた。
それは──何かが終わってしまったのだという、切ない確信。
四角い部屋の中に、ユイの言葉がゆっくりと流れはじめた。
「この世界、『ソードアート・オンライン』は、ひとつの巨大な制御システムのもとに運営されています。システムの名前は『カーディナル』、それが、この世界のバランスを自らの判断に基づいて制御しているのです」
そこまでユイが言った時、レンが俯いていた顔を血相変えて上げたが、その真意は判らない。
それに気付いた様子もなく、ユイの言葉は続く。
「カーディナルはもともと、人間のメンテナンスを必要としない存在として設計されました。二つのコアプログラムが相互にエラー訂正を行い、更に無数の下部プログラムによって世界のすべてを調整する……。モンスターやNPCのアクション、アイテムや通貨の出現バランス、何もかもがカーディナル指揮下のプログラム群に操作されています。──しかし、ひとつだけ人間の手に委ねなければならないものがありました。プレイヤーの精神性に由来するトラブル、それだけは同じ人間でないと解決できない……そのために、数十人規模のスタッフが用意される、はずでした」
「GM……」
レンがぽつりと呟いた。
「ユイ、君はゲームマスターなのか……? アーガスのスタッフ……?」
キリトの問いにユイは数秒間沈黙したあと、ゆっくりと首を振った。
「……カーディナルとその開発者たちは、プレイヤーのケアすらもシステムに委ねようと、あるプログラムを試作したのです。ナーヴギアの特性を利用してプレイヤーの感情を詳細にモニターし、問題を抱えたプレイヤーのもとを訪れて話を聞く……。『メンタルヘルス・カウンセリングプログラム』、MHCP試作一号、コードネーム『Yui』。それがわたしです」
アスナは驚愕のあまり息をのんだ。言われたことを即座に理解できない。
「プログラム……? AIだっていうの……?」
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