第14話 俊扇登場
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場所にまで思考を飛ばしていた瞬間、有希の口から、更に問題の有る言葉が発せられた。
そう。それは、未来に起こるべき事件が起こらない可能性。……と言う部分。
そう言えば、さっきの会話の中に、もう一人の登場人物の名前が有りましたね。異世界の未来人と言う人物の名前が。
この人物の存在が指し示す答えと言うのは……。
「良く判らないんやけど、有希は未来を知って居る、と言う事なのか?」
もう、正直に言うとお腹いっぱいで、これ以上、何か新しい情報を入れるスペースは俺の出来のよろしくない脳には存在してはいないのですが、それでもこの質問は重要でしょう。
そして、有希は俺の問いに対して無言で小さく首肯く。しかし、続けて、
「しかし、わたしの知って居る未来には、貴方が現れる歴史など存在しては居なかった」
……と答えた。
成るほど。これは、彼女の知って居る歴史とは違う流れの平行世界に、何処かのタイミングで軌道の変更が為された可能性も有る、……と言う事なのでしょう。
歴史とは、些細な切っ掛けで切り替わる物です。単純な話、朝、出掛ける時に踏み出した足が右足か、左足かだけで変わる世界も有るはずですから。
まして、和田さんが言うには、本来、出会うはずの無かった魔法を身に付けた異世界人。いや、それだと俺も同じ存在と成りますか。名づけざられし者と門にして鍵の属性を付与された存在と、感情に振り回されがちな少女との出会いに因って、一度、歴史は改竄されている為に、今回の事態はそれの揺り戻しのような物と考えるべきですか。
但し、揺り戻しにしては、非常に強い揺り戻しだとは思いますが。天魔ラゴウ悪大星君などを使用すると言うのは。
俺が思うに、外なる神に滅ぼされる前に、ヨハネの黙示録に描かれている通り、巨大彗星の落下により核の冬がやって来て、人類が滅亡しかねない程の揺り戻しだと思うのですが。
いや、ルーン文字が関わっている以上、太陽と月が同時にフェンリルに呑みこまれるラグナロクの可能性も有りますか。
どちらにしろ、今回、俺がこの世界に呼び寄せられた事に始まるこの事件は、非常に厄介な、そして大きな事件で有る事に変わりはないのですが。
「貴女と思念体の間で行われている情報の交換は、情報の時間移動を行わない限り瞬時の情報交換は成り立ちません。そして、現在は、次の七夕の夜に起きる事件が起こらない可能性が出て来た事により、過去が再びキョンと呼称される存在と、この世界の涼宮ハルヒが出会わない可能性が出て来た事に因り時空が不安定と成り、全ての時間移動を伴う行動が不可能と成っているのです」
和田さんの長い説明。つまり、これはタイムパラドックスが起きていると言う事ですか。
但し、本来の流れの方が人類に取
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