暁 〜小説投稿サイト〜
ヴァレンタインから一週間
第14話 俊扇登場
[6/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
せる危険性の有る企みと言うのは、阻止されて来たが故に、この世界は未だ命脈を保っているのです。

 そして、この世界の防衛機構。今の世界の主流派たるヘブライの神は、歴史の改竄を絶対に許さない神です。
 実際、(ゲン)に因るヨーロッパ侵略の中断。鄭和に因る大航海の記録の焼却など、歴史上の流れがヘブライに都合の良い流れと成っているのは、まるで彼らの手に因って、彼らの都合の良い歴史への改竄の結果……、と取られかねない内容と成っています。
 つまり、現在のヘブライ神族に因る人間界の覇権は、実は砂上の楼閣に過ぎない状態だと言う事です。
 もし、一度でも新たな、……俺の知って居る正史で語られている歴史の改竄を是とすれば、自らの造り上げた、自らに都合の良い歴史の流れを全て崩壊させる可能性も有ります。

 故に、彼らは歴史を改竄される事を恐れ、人間に時間の流れを逆行する技術を得る事が出来ないようにしているのですから。光の速度を超える事は出来ない。次元の壁を破る事は出来ない。エトセトラエトセトラ。
 そもそも、彼らは人間の科学技術は、中世程度が望ましいと考えて居ますからね。

 俺の問いに、龍種の長史たる和田亮はゆっくりと首肯く。これは肯定。そして、

「一九九九年七月七日。世界でもっとも有名な予言詩。一九九九年、七カ月の言葉から始まる予言詩を信じた、現状に不満の有る少女が居ました」

 その言葉を聞いた瞬間、俺の脳裏に、一人の少女の姿が浮かぶ。現状に不満を持ち、不思議な事を探し続ける事を自らに課した少女の挑むような視線を。

「彼女がその夜に何を為したのかは判りません。しかし、その夜。彼女は、異世界の未来から訪れた、自らの名前を知られる事もなく、平然と現代社会で暮らして行ける程の異常な魔法を身に付けた存在と出会わされました。
 世界的に有名な予言者の詩と、その予言を信じた生きる者たち。死した者たちの思い全てを利用し、この世界を破滅に導く『呪』を行う為に何者かに選ばれたのですよ。あの夜、彼女は」

 現代に蘇った水晶宮の存在理由。それは、一九九九年以降は龍種の互助会的な組織。覚醒した龍種の能力を悪用して反社会的な行動に走らせない為の組織なのですが、それ以前にはもっと大きな目的が存在して居ました。

 それは、一度起きて仕舞った黙示録。一九九九年に起きた黙示録を、再びの世で再現させない為に造り上げられた組織だったと言う事。
 一度目の世界では歴史の向こうに消え去っていた家系を護り、育てた人達が居た。そして、彼女らの想いと行いを無にしない為に作り上げられた組織。

 いや、その理念に関しては、警視庁に有る特殊資料課にしても、神社庁の特務調査課にしても、防衛省の超心理研究班にしても、全て同じです。

 おそらく、ヘブライの神族に
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ