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ヴァレンタインから一週間
第14話 俊扇登場
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に疑問が有ったのですよね。何の変哲もない普通の少年を監視しろと言われた事に」

 俺が、有希を訝しげに見つめる様子を見た和田さんが解説するかのように、そう言った。そして、その言葉に対して、かなり驚いたような気を発しながらも、それでも有希は静かに首肯く。
 これは、有希自身が、その思念体と呼ばれる自らの造物主に対して、何らかの疑念を持って居たと言う事に成ると思うのですが。

 ただ、そんな事が――――――――

「それに、そもそも、次元移動能力を持った一般人は存在しませんものね」

 ……可能なのか。そう俺が考え始めた瞬間、この探偵事務所に現れてから何度目に成るのか判りませんが、またもやの爆弾発言を行う和田さん。
 しかし、本名を知られなくする魔法以外に、次元移動能力すら行使可能な一般人など、普通は存在しないでしょう。

 まして、名づけざられし者には次元移動能力は……微妙な線ですか。但し、門にして鍵ならば、間違いなく次元移動能力は持って居ます。
 そして、共に黒き豊穣の女神の夫とされる邪神ですね。

 そして、片や無窮なる痴神(ハスター)と呼ばれる存在。もう片方にも真面な知性が有るとは思えない全にして一、一にして全(ヨグ=ソトース)と呼ばれる存在。こんなヤツらが、自らの意志で現実世界に現身(うつしみ)を送り込むとは思えません。
 そうだとすると……。

「本来、向かうはずの無かった未来。この世界に存在していた少女涼宮ハルヒと、異世界からの来訪者キョンが、異世界の未来人朝比奈みくるが介在する事に因って出会った結果、造り上げられた世界。それがこの世界の真実ですよ。異世界からの来訪者の武神忍くん」

 異世界からの来訪者。本来、向かうはずの無かった未来。異世界の未来人。出会うはずの無かった二人の有り得ない出会い。もうここまでカオスな状況と成って居たら、何処に、どうやってツッコミを入れて良いのか判りませんが。
 ただ、そうかと言って、このまま成り行きに任せる訳にも行きません。

 それならば最初に問うべきは……。

「それは、歴史の改竄が行われたと言う事なのでしょうか」

 先ほどの和田さんの台詞の中でも、一番重要な部分だと思われる質問を行う俺。
 但し、この世界が俺の住んで居た世界に近い世界ならば、簡単に歴史の改竄など出来ないはずなのですが。

 世界には防衛機構と言う物が存在します。何らかの悪意を持って世界に害をもたらそうとすれば、予想もしなかったような偶然が重なり、その企みが阻止される、と言う事が。
 例えば、アニメや小説。そして、漫画などに登場する主人公たち。昔話や伝説上に登場する勇者や英雄たち。科学に立脚しようが、魔法や超常能力に立脚しようが、細かい仕様には差が有りますが、世界自体を崩壊さ
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