第14話 俊扇登場
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これは非常にマズイ状況。彼女は、既に何らかの魔法の影響下に有ると言う事なのでしょう。
【我々、水晶宮としての能力を使用せず、ごく一般的な調査方法で捜査した結果も、そのキョンと呼ばれる少年は十五年前より存在しています。但し、彼の本名を誰にも知られる事もなく、両親や妹の名前すら誰にも知られる事もなく、この西宮市立の中学と小学校に通い、社会生活を営んで居ます】
和田さんが、【念話】にてそう情報を伝えて来た。
しかし、水晶宮としての能力を使用せず、ごく一般的な調査方法で捜査した結果と言っても、住民票などから公的な資料に記載されている名前をいくらでも調べる方法は有ると思うのですが。
【偽名を使用する事もなく、キョンと言う通称のみで生活を続けていると言うのですか、長史】
俺の【念話】での問いに、軽く首肯いて答える和田亮。
しかし、それでは……。
普通に考えるなら、……本名を知られたくないのなら、そんな面倒な事をせずとも、偽名を名乗れば良いだけ。俺のように……。しかし、そのキョンと呼ばれる存在は、簡単な方法ではなく、余計な手間や魔力を必要とされる通称のみで生活を続けながらも、周囲からまったく不自然とは思われていない、……と言う非常に不可解な状態を十五年間も続けて居ると言う。
これは、その通称で生活を続けると言う事に、何らかの魔術的な意味が込められていると言う事。
俺は、少し背筋に冷たい物が走るような。得体の知れない何者かが、既に俺の背後に立ち、今にも肩を叩いて、俺を振り返らせようとしているような、そんな薄気味の悪い感覚に囚われる。
そして……。
「名づけざられし者……」
キョン。いや、黄衣の王と言う事なのか?
思わず、実際の声に出して仕舞う俺。その言葉を聞いた瞬間に、有希から微妙な気が発せられた。
これは、もしかすると少しウカツな対応を取って仕舞った可能性も有りますが……。
「そう言えば、有希はさっき、この世界に、涼宮ハルヒの関係者と、有希の関係者以外に魔法を行使可能な存在は知らないと答えたな」
俺の問いに対して、無言で首肯く有希。大丈夫。異質な気を彼女が発して居る訳では無い。まして、彼女がクトゥルフの神族に繋がる邪神の眷属の可能性は薄いと思うから、ここ麻生探偵事務所に連れて来たのでしょう。
この水晶宮の長史様は……。
「その中には、キョンと呼ばれる人物が魔法を行使出来る存在だと言う認識は無かったと言う事やな?」
俺の問いに、少しの間を置いて微かに首肯く有希。先ほどから彼女の反応が、何か微妙な感じなのですが。
これは、彼女自身に何か蟠りが有ると言う事なのでしょうか。
「思念体より、長門さんはキョンと言う人物の監視任務を受けて居る事自体
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