第14話 俊扇登場
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探偵事務所の奥に繋がる扉。この長門有希が暮らして来て居た世界の麻生探偵事務所の構造が、俺の知って居るこの探偵事務所と同じ構造ならば、その扉の向こう側には転移用の陣が描かれている部屋が有るはずです。
その扉の前に立つ一人の青年。
年齢は二十代半ばと言う雰囲気ですか。切れ長の双眸。女性と見間違いかねない長い黒髪。そして、まったく日に焼けていない白い肌理の細かな肌。身長に関しては俺より大きいように見えますから、百八十センチ以上は有ると思います。もっとも、彼が発して居る雰囲気からそう思っているだけで、実際は判りませんか。
但し、俺の見鬼の才が伝えて来るのは、この男性も人ならざる存在だと言う事実。
この麻生探偵事務所と言う場所は仙族関係の術者が集まっている場所ですから、この青年も仙族に繋がる、そして龍種の一員で有る事は間違いないでしょう。
「初めまして。長門有希さん。そして、武神忍くん」
ゆっくりとした足取りで俺達の座るソファーの下座側に着くその青年。尚、一番の上座には有希が座り、その隣に俺。俺の正面に万結が着いているので、ホスト側の上座に当たる位置にその青年が着席した事に成ります。
「私は水晶宮の住人。和田亮と名乗っています」
そう自己紹介を行う青年。水晶宮の住人、和田亮。この名前は向こうの世界に居た時にも聞いた事が有る名前。四光商事の関係者の中に有ったはずですが、それ以上に……。
「和田亮。…………水晶宮の長史」
いや、四海龍王が不在の現在、実質的な水晶宮のトップ。そんな大物が、こんな田舎にまで現れると言う事は……。
以前に、この人物がこの街に現れたのは、確か地脈の龍事件の際に、八岐大蛇の分霊が複数体同時に現れた時に、その分霊たちを一気に異界に封じたのがこの青年だったらしいのですが。
尚、俺はその時、安徳帝と切り離され異界。……インターネット内に作り出された迷い家に籠っていた地脈の龍の元を、瑞希さん達と共に訪れていたのですが。
「確かに水晶宮の長史を務めさせて貰っていますが、私は先代の仕事を受け継いだだけですから、そう緊張する必要は有りませんよ」
少し微笑みながら、そう伝えて来る和田亮と名乗った青年。成るほど。どうやら、こちらの世界でも彼の立場は変わらないようですか。
但し、俺が知って居る向こうの世界の和田亮と言う人物についての知識は、名前だけで、俺自身は姿を見た事さえないので、この目の前の人物の異世界同位体が間違いなく向こうの世界の和田亮だと決まった訳ではないのですが。
もっとも、何時までも驚いて、気圧されている訳にも行きませんか。そう考えて、少し型の古いエアコンにより温められた温い空気を肺に取り込み、全身に巡る気を充実
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