27話「魔道士」
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リを見ると、彼以上にびっくりしたような顔で見返された。
「……あれ、最後挨拶の時に言わなかったっけか。ええと、たった今Fランカー剣士になりました、アシュレイ=ナヴュラです。…どうぞよろしく」
「………あの時はそれどころじゃなかったんですっ」
クオリを連れて宿屋に帰ると、今度はクオリが「あれっ」と声を上げた。
「私もここに泊まっているんですよ。一緒だったんですね。気づきませんでした」
「あれ、そうなんだ」
そのまま食堂へと向かう。既に18回鐘がなってから随分時間が過ぎているので席はあまり空いていなかったが、偶然食事が終わって帰る客がいたので、そこに座る。食器を片付けながら店員にメニューを聞いた。
「今日はレグーのステーキがおすすめです。仕入れたばかりなので、まだ柔らかいですよ。あとは、豆スープが値段の割に美味しいと人気ですね」
アシュレイとユーゼリアはレグー肉のステーキを、クオリは豆スープを頼んだ。エルフはあまり肉を食べないのだ。まだユーゼリアは気づいていないようだが、特に疑問にも思わなかったらしい。
「ま、こんなもんね」
ユーゼリアの批評はぼちぼちだったが、アシュレイの舌にはそこそこ美味に感じられた。クオリも残さず食べ終わり、ほっと息をついている。
「ねえ、クオリはどうして臨時パーティを組んでたの? それってつまり、もともとソロってことでしょ?」
ずっと聞きたかったことをユーゼリアが訊ねた。組んだ手の上に顎をのせ首を傾げるその瞳はきらきらと輝き、教えて教えてとせがんでいた。クオリが苦笑して「そうですね…」と虚空を見つめる。なんと説明しようか迷っているようだった。
「詳しくは言えませんが……そうですね、わたしをパーティに加えると、もれなく厄介事がついてまわるんですよ」
冗談交じりの声で言った台詞だが、“厄介事がついてまわる”の言葉に、ユーゼリアは思わず「え」と漏らした。
「あ、いや、なんでもないの」
ごまかしの笑顔と共に無意識に両手を振る。クオリの言い方に、アシュレイも少し意外な顔をしていた。ちらりと彼と目を合わせると、再びクオリに向かって言った。
「そういえば、クオリって魔道士なのよね。何魔道士?」
一口に“魔道士”といっても、その種類は色々だ。例えばユーゼリアのような魔物を使役する召喚魔道士や、味方の補助・回復などサポートに徹する補助魔道士、攻撃魔法を用いて遠距離から火球や雷撃を浴びせる攻撃魔道士などがある。
クオリはこの攻撃魔道士に当たるのだが、彼らにももちろん個人で得意不得意な属性がある。火属性が得意な攻撃魔道士は水属性が苦手なのが一般的だし、また火属性が得意ならばそれに近い雷属性もそこそ
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