26話「貿易都市シシーム」
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
シシームのギルドは大きかった。前の町と比べてしまうと余計に大きさが際立つ。建物自体は先日のポルスにあったギルドと同じ造りだった。レンガ造りの頑丈そうな建物。
だが規模は倍以上だ。馬車をしまう専用の木造施設や、馬小屋もある。それらを囲むように塀があり、それがギルドの威圧感を煽っていた。
「大きいわね…。流石“貿易都市”」
本館には木製の看板に“シシーム総合ギルド”と達筆に書かれていた。ユーゼリアに尋ねると、
「ああ、言ってなかったっけ。ギルドって、いくつか種類があるのよ。私達が用があるのが“冒険者ギルド”。その他には商人が大抵所属する“商人ギルド”とか、公にはされてないけど、どの町にも必ずあると言われている“盗賊ギルド”とか。商人ギルドではどの町では今何の売れ行きがいいとか、何が不足してるとか教えあうのよ。商品を配達人に届ける商人も、受け渡しはギルドで行うの。他にもあるわよ」
「ほう、なるほど」
中は外観でわかるとおり広く、並んで置いてある丸テーブルでは既に多くの商人が食事をしていた。冒険者よりも上等な布地の服を着た彼らは、ワインを片手に何やら商人同士で交渉をしたり、トランプをしているようだった。側にはうずたかく積まれたコインがある。
それらを縫うように通り抜けると、随分と横に広いコルクボードの前に立った。
「すごい熱気ね」
ふうと息をついたユーゼリアが、彼女の背丈よりも高い場所に貼ってある紙に目をつける。
「あれとか、どうかしら」
一生懸命手を伸ばして背伸びする背中の上から、アシュレイがひょいとその依頼書を引き抜く。ぷうと膨れる薔薇色の頬を無視して一通り詳細を見終わると、やっと少女にその紙を渡した。
「…うん、これなら近くの森に生えてるからお夕飯までには帰れそう」
鎮静剤になる薬草を20束納品するという町医者の依頼だ。カウンターに渡せば冒険者側は終わりである。溜まるギルドポイントは20。Fランクに上がるのにちょうど良かった。
手続きを受けると、早速2人でその森に向かう。門兵に再びギルドカードを見せ、町を出たあと歩くこと10分。
「ここまでくればあると思う」
そう言って道を外れて森に消えていったユーゼリアを追い、森に入った。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ