第三幕その四
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悪いのは言うまでもない。
「何でこんなところに」
「御免なさい」
ミミは俯いてそれに応えるだけであった。
「けれど私は」
「顔が青い。無理をしちゃ駄目だ」
ロドルフォは彼女に自分のコートを着せた。
「君はもう・・・・・・いや」
「もう聞いたわ」
ミミは悲しげな声で言った。
「前から。変だと思っていたの」
「そうだったんだ」
「貴方の様子が。そういうことだったのね」
「済まない」
ロドルフォは申し訳なさそうに俯いて答えた。
「こんなこと、とても・・・・・・」
「いえ、いいわ」
ミミにもロドルフォのその優しさがわかった。だからこそ余計に辛かったのである。
「私達、別れましょう」
「いいんだね」
「ええ」
ミミはこくりと頷いた。
「私が側にいると貴方を辛くさせてしまうから」
「それは違うよ、ミミ」
ロドルフォはその言葉に首を横に振った。
「僕なんかと一緒にいるから君は」
「いえ、違うわ」
「違わない。君は僕なんかを愛さなくていいんだ」
「そんな・・・・・・」
「君のことだけを考えてくれ。君は・・・・・・幸せになるべきなんだ」
こうミミに言うのだった。
「ロドルフォ・・・・・・」
「僕のことは忘れて。暖かい部屋で」
「私はいつも暖かい部屋にいるのに?」
「えっ!?」
「貴方と一緒にいられることが。何よりも暖かいのに。それじゃ駄目なの?」
「心は確かにそうさ。けれど君の身体は」
「そんなこと・・・・・・うっ」
また咳込んでしまった。先程のものより辛そうだった。
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