第1話 気が付けば使い魔!?
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なんて思っていたら、その店の『大売出しがある』と店員に言われてくじ引きがあったので、引くと――二等のサバイバル道具が当たった。
懐中電灯にナイフとマッチ、お米に乾パンに水、カップラーメンに調味料などといった、災害があった時に家族で一週間ほど生きられるように色々な道具が入ったセットだ。
それを母さんの実家まで一駅だからということで、送ってもらわずに持って駅に向かい始めた。……歩いて五分もしない内に後悔したけどな。重すぎて。
そうやってやっとの思いで駅まで歩いていると、目の前に突然光る鏡のようなものが現れた。
今思えば、その鏡に興味をもってしまったのが運のツキだ。好奇心に身を任せて指先を少し鏡のようなものに触れたら、引きずりこまれて、その後に電気ショックのようなものが体を走り、気絶して目が覚めたら――ファンタジーな世界が広がっていた。
「……それ本当?」
「嘘をついてどうする」
ルイズが疑わしい目で俺を見ながら言ってきた。手には夜食のパンが握られており、俺と二人でテーブルを挟んだ椅子に座っている。
俺が目を覚ますと、すでにこの十二畳ほどの大きさのルイズの部屋にいた。
覚ましてすぐに外を見てみると、すでに日が沈んでいて、月が二つ出ていた。……月が二つあった事から、ココは日本はおろか地球ですらないことを改めて実感させられる。
「信じられないわ」
「俺だって信じられないよ」
ルイズの言葉に大いに乗っかる。俺もまだ夢なんじゃないかって思うよ、ホントに。
「別の世界って、どういうこと?」
「魔法使いがいなくて、月が一つしかない」
「そんな世界がどこにあるの?」
「俺の元いた世界がそうなんだよ!」
「怒鳴らないでよ、平民の分際で」
わたしは偉いから、わたしに向かって怒鳴るなという態度でルイズが言ってきた。
「誰が平民だ!」
「だって、メイジじゃないんでしょ? だったら平民じゃない」
「なんでメイジじゃなきゃ平民なんだよ?」
「もう、本当にあんたって、この世界の人間なの? そんなことも知らないなんて、どんな田舎から来たのよ」
「だから違うって何回も行ってるんですけど……」
俺がそう言うと、ルイズは呆れたようにテーブルに肘をつく。
『まだ言ってるよ、この使い魔……』みたいなことを考えてるんだろうなぁ。
俺だっていい加減帰りたい。親がすごく心配しているはずだ。
「ルイズ……お願いだ……」
「なによ」
「家に帰して……」
「無理」
この女、即答しやがった!
「な、なんで!?」
「だってあんたはもう、わたしの使い魔として契約しちゃったの。あんたがどこの田舎者だろうが、別の世界から来た人間だろうが、一回使い魔の契約をしたからにはもう動かせない」
「ふざけんな……」
「わたしだっ
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