第七章
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「この試合も絶対に勝てますから」
「そうね。それじゃあね」
部長は明るい笑顔になってゆかりに応えた、そしてだった。
前に出てゆかりとすれ違いその背を押して言った。
「明るい顔になってきてるわよ」
「はい」
ゆかりは部長の方を振り向いてその笑顔で応えた、そのうえで。
ゆかりは愛生、休憩時間の間も強張った顔で失敗や敗戦を恐れてベンチに座りながら暗い顔でいる彼女のところに来てこう言った。
「大丈夫よ。愛生ちゃん動けてるわよ」
「いけてます?私」
「ええ、いけてるわ」
こう言うのだった。
「だから安心していけばいいわ」
「けれど若し」
「ボールが抜けたらっていうのね」
「そうなったら先輩に」
「ダブルスよ」
ゆかりは申し訳なさそうな顔になる愛生に優しい微笑みで返した。
「二人でやるものよね」
「だからですか」
「そう、後ろにいったボールは私が打ち返すから」
「先輩がですか」
「だから安心して愛生ちゃんのベストを尽くして」
そうしていいというのだ。
「それじゃあね」
「わかりました、そうさせてもらいます」
愛生はゆかりの言葉に笑顔になってそのうえで立った、立つとやはりゆかりよりずっと大きく堂々たるものだ。
その長身でゆかりを見下ろす形になって言うのだった。
「それじゃあ」
「二人でいくわよ」
「わかりました」
今度はゆかりが愛生の背中を押した、そのうえでだった。
二人で試合に向かう、休憩時間が終わって試合に戻るとだった。
愛生の動きは思い切ったものになっていた、表情も吹っ切れたものになっている。
左右に素早く動きボールを打ち返す、ボールを逸らしてもそこにはゆかりがいて。
息の合ったゲームを見せる、それまでは劣勢だったがそれを覆してだった。
最後には二人が勝っていた、愛生は満面の笑顔でゆかりに抱きついてこんなことを言った。
「先輩やりましたね」
「ええ、そうね」
「私達勝ったんですよね」
「そうよ。初勝利ね」
「私達の」
ゆかりを抱き締めて笑顔で言う愛生だった。
「本当によかったですね。全部先輩のお陰です」
「私のお陰じゃないわよ」
抱き締められているゆかりは落ち着いた声で愛生に返す。
「愛生ちゃんが頑張ってくれたから」
「私がですか」
「何度も言ってるわよね。私達はダブルスだって」
「だからですか」
「私のお陰じゃないわよ」
「私達二人の、ですね」
ゆかりは愛生のお陰と言ったがそれでもだった。
その愛生はゆかりにこう言ってきたのである。
「ダブルスですから」
「あっ、そうね」
今度はゆかりが気付く番だった、抱き締められたまま気付いた顔になる。
「そうなるわね」
「はい、そうですよね」
「私達はダブルスだから二
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