第一章
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西郷と大久保
最初彼等を見て京の都の者達は目を剥いて驚いた。
「また大きいわ、二人共」
「薩摩の人はあんなに大きいんかいな」
西郷隆盛と大久保利通、二人を見ての言葉だ。
「薩摩藩の大物とは聞いてたのしても」
「身体まで大きいんかいな」
「いや、凄い人等が来たで」
「ほんまどすな」
こう話彼等だった。その話を聞いて当人達はというと。
都の薩摩藩の屋敷において西郷はその口を大きく開いて笑って己の前に座す大久保に対してこんなことを言ったのだった。
「いや、おいだけではないとは」
「そうでごわすな」
大久保も笑って西郷に返す。
「おいもとはな」
「一蔵どんも確かに大きいでごわすからな」
「ははは、おいはまだ小さいでごわすよ」
細身だが西郷に負けない位の大柄な彼の言葉だ。
「西郷どんに比べれば」
「いやいや、一蔵どんも大きいでごわすよ」
「器では負けておりまそ」
大久保が今言うのはこのことだった。
「おいは西郷どんより遥かに小器でごわす」
「いや、一蔵どんがいないと今のおいはなかと」
こう言う西郷だった。
「おいが奄美とかにいる時に動いてくれたからでごわす」
「今ここにいるというでごわすか」
「その通りでごわす」
これが西郷の大久保への言葉だ。
「おいは一蔵どんあってのおいでごわす」
「何を言うか、西郷どん」
だが大久保はまた言った、幼い頃からの無二の親友である彼に。
「西郷どんだからこそ皆ついてるでごわすよ」
「おいだからでごわすか」
「その通りでごわす」
西郷あらばこそだというのだ。
「今薩摩藩はまとまりこうして都で攘夷にも動いているでごわす」
「おいはそんなに大きいと」
「大きいでごわす」
ただ身体が大きいだけではないというのだ。西郷は人としての器も大きい、それも途方もなくだというのだ。
「おいだけではここまでできんと」
「一蔵どんの頭と覚悟だけでもでごわすか」
「おいはたた考えるだけでごわす」
情勢を見切って冷静に判断を下す、それも大久保だ。彼は考えるだけでなくそうしたことにも長けているのだ。
だがその大久保を理解し人を集め動かす、それについては。
「西郷どんだからこそ皆くるでごわすよ」
「ううむ、おいでなければ」
「おいは軍師、そして西郷どんは」
「大将でごわすか?」
「その通りでごわす」
まさにそれだというのだ。
「軍師だけで物事は動くことはなかとよ」
「大将あってこそでごわすな」
「おいは大将の器ではなかと」
あくまで軍師に過ぎないというのだ。
「西郷どんあってぞ。何もかも」
「そうでごわすか」
「おいは西郷どんが好きじゃ」
大久保は己の心も語った。
「皆も同じじ
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