第六章
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「あんたを待ってくれてるぜ」
「そうか」
「それなら、わかるよな」
「ああ」
ホークは確かな顔で頷いた。
「辿り着いてやるさ」
「そうだな。それでな」
「ああ、それでだよな」
「次の試合もな」
それもだというのだ。
「勝つぜ」
「そして目指すのは」
「ああ、あいつだよ」
ホークはにやりと笑って言った。
「あいつと試合をするぜ」
「何か試合をすること自体が目標になってるな」
ホワイトはここでこうホークに言った。
「そうじゃないか?」
「そうかもな」
ホークもそのことを否定しない、笑顔で述べる程だった。
「俺もそう思うよ」
「勝敗とか関係ないんだな」
「やっぱり勝つに越したことはないさ」
伊達に無敗のチャンピオンだった訳ではない、彼とて勝利は最高のものだと思っている、だが最高のものは一つとは限らないのだ。
だからこう言ったのである。
「けれどそれと一緒にな」
「あいつと試合が出来ることか」
「スポーツだよ」
言うのはこのことだった。
「スポーツだからな」
「だからか」
「ああ、凄い奴と試合がしたいな」
「そして勝つんだな」
「スポーツマンシップが大事だよ」
ホークはこのことを守っていることでも知られている、今それを出したのだ。
「まずはそれだからな」
「そうか、あんたはそういう人間だったな」
「だからな」
まずはだというのだ。
「あいつと試合をするさ」
「その試合、万全にな」
「やり遂げてくれよ」
二人で言うのだった、そうして。
ホークは勝ち進みさらにだった、遂にハルトマンとのチャンピオンを決める試合にまで向かった、その彼を見て。
「凄いな」
「ああ、まさか引退して十年以上経つのにな」
「それでカムバックしてな」
「チャンピオンとの試合まで辿り着くなんてな」
「只、チャンピオンじゃないんだな」
「それ以上の人なんだな」
「ああした人こそがな」
ハルトマンも驚く彼等に言う、言いながらトレーニングの前の準備体操をしている。
そうしながらこうも言ったのである。
「本当のチャンピオンだろうな」
「おい、チャンピオンはあんただろ」
「そんなこと言っていいのかよ」
「チャンピオンってのはベルトを手にしてなるものだけれどな」
それでもだというのだ。
「それで終わりじゃないしそれだけじゃないんだよ」
「スポーツマンシップかい?」
「心か」
「そうさ、なろうと思ってなるものでな」
努力して、それでだというのだ。
「ずっとなり続けられるものなんだよ」
「あの人みたいにか」
「チャンピオンの心を忘れないでいられるっていうんだな」
「そうさ、だから俺はな」
準備体操を丹念に続けながら言っていく。
「ああいう人になりたい
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