第三章
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「そうか」
「そうじゃ。都でどんどん仕事をしていくぞ」
「頑張れよ、わしも励むからな」
「最後の最後までのう、安心してやるべきことをやっていくわ」
老婆に言われたことを思い出しながらの言葉だった。
「全部出来てそれが適うわしは最高の幸せ者ぜよ」
「じゃあその幸せを胸にして飲むか」
武市はその坂本の背を叩いて言った。
「今からな」
「よし、じゃあ二人で心ゆくまで飲むぜよ」
「そうするか」
武市はそのまま坂本を酒に連れて行った、坂本はその日から行動に迷いを見せなかった、そして最期も。
斬られこと切れようとする時に共にいた中岡慎太郎、同じく深い深い傷を負っている彼にこう言われた。
「おまんは死ぬな、死んだらいかん」
「いや、わしはこれで死ぬぜよ」
坂本は仰向けに倒れていた、中岡は血の海の中でうつ伏せになっていた。
坂本の頭は割られそこからは血だけでなく灰色のものも出ていた、彼はその中で言うのだった。
「もう助からん。しかしぜよ」
「しかし。何じゃ」
「やるべきことは全部やったわ。未練はないわ」
「死んでもいいか」
「いいぜよ。時が来ただけじゃ」
だからだというのだ。
「ここで寝るぜよ。慎太郎、また何処かで会うぜよ」
最後にこう言って静かに目を閉じた。その死に顔は微笑み非常に安らかなものだった。
笑って受け入れる 完
2012・12・27
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