第二章
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「二つあれば大丈夫じゃ」
「それでじゃな」
「ああ、何なら以蔵も連れて行くか」
「三人じゃ目立ち過ぎるじゃろ」
三人で行けば二人よりも目立つというのだ。
「だから止めた方がええと思うがのう」
「ううむ、それもそうじゃな」
「今度は二人で行った方がええじゃろ」
「よし、じゃあそうするぜよ」
武市は坂本の考えを容れた、そうしてだった。
二人で夜に南禅寺の前まで向かった、その前まで来たところで武市はそっと坂本に対して囁いたのだった。
「じゃあわしはな」
「ここでじゃな」
「身を隠しておくわ」
やはり新撰組等佐幕派を警戒してのことだ。
「そえじゃあ行って来い」
「わかったぜよ」
二人で話して武市は実際に姿を消した、坂本は南禅寺の前にだった。
行くとそこに席と座を置いた老婆がいた、坂本はその老婆のところに来てそのうえで尋ねた。
「おまんが占い師か?」
「そうじゃ」
その通りだと老婆も返す。
「何でも当てるぞ」
「その話は聞いとる。そんでわしのことを占って欲しいんじゃが」
「何を占って欲しいのかのう」
「そうじゃな。この国がどうなるかじゃ」
坂本が老婆に出したのはこれだった。
「それじゃ」
「天下のことか」
「一体この国はどうなるんじゃ、それじゃが」
「ちょっと待っておるのじゃ」
老婆は坂本の話を聞いてすぐに手に持っていた八卦を操り出した。そしてそれを己の前に広げてから坂本に顔を戻して言った。
「あんたが幕府の人なら困るぞ」
「幕府はなくなるか」
「それに身分もなくなるわ」
武士やそうしたこともだというのだ。
「天下は一つの国になって露西亜にも勝つわ」
「おお、あの怖い国にか」
「それで国を守れるわ」
「そうか、それはいいのう」
「しかし」
老婆はここで坂本の顔も見た、そして少し剣呑な顔で彼に言った。
「あんたのことを言っていいか?」
「わしのことか」
「ああ、そう言っていいか」
「何でも言っていいぜよ」
坂本は笑って老婆に返した。
「その分の金は払うきに」
「わかった、じゃあな」
老婆は坂本の話を聞いてあらためて言った、そのうえでだ。
彼に対してこのことを語った。
「あんたはその頃には生きておらんわ」
「日本が露西亜を破る頃にはか」
「それよりずっと前に死んでおるわ」
「ほう、そうか」
「殺されるわ、痛い死に方をするわ」
「そうか」
「避けられるみたいじゃがな」
所謂剣難だ、だがそれは避けられるというのだ。
「この都から去ればな」
「そうか、わしは助かるか」
「そうじゃ、ただそうすれば」
坂本が都から出ればどうなるのか、その話にもなった。
「天下は乱れる、あんたが結びつける人達が結びつかんかもな」
「ああ、長
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